[揺れる熱情]
恋とは、心の中で想いを募らせるものなのかもしれない。
君と出会って、好きが生まれて、心の中には自分以外の誰かが住んでいるようだった。
けれどもそれは、一本道で誰ともすれ違わないようなもので、眼圧検査の機械と同じように、地平線の彼方にはあなたのシルエットが蜃気楼として浮かんでいた。
そんな遠くのものに振り向いてもらうには。
声高らかに、純粋無垢に、頭のてっぺんから身体の芯を突き抜けさせ、息を大きく吸って、踵にじわりと熱を込めた。
口の形は「あ」の文字で。
〈愛を叫ぶ。〉
[虹の隣で]
君の表情は、たくさんあって。
怒ったり、笑ったり、泣いたり、喜んだり。
あと、驚いたり、拗ねたり、心配したりもする。
七色の虹のように鮮やかな君は、周りの人にもそれを見せるのだろうか。
綺麗だねって、遠くから君を愛でる人がいるのなら。
近くで君の七色を最初に浴びるのは僕が良いな。
〈七色〉
[振り返ることはもうできない]
もし、その運命が貴方の本意ではなかったとして。
貴方が望むなら、全てを投げ打って迎えに行っただろう。
けれど結局、己は何も投げ出していないのだから、物言わぬ人形と同じなのだ。
全て終わった後に気づく。
本当に全てを投げ打ったのは貴方だった。
〈叶わぬ夢〉
[引火]
ちりちりと、貴方の瞳の奥に何かが見える。
それはそこにないはずの炎。
今生まれたそれは、静かに私を見据えていた。
私はそれを見つめることしかできなくて、ただ呼吸を繰り返す。
汗が浮かび上がって、喉が渇く。
心の中の枯葉が、ざわめくような気がした。
〈心のざわめき〉
[アドレス不明]
お元気ですか。
最近はもう梅も花開いてきています。
良いお菓子が手に入ったのですが、一緒にお花見をしませんか。
大丈夫。もう突然友人を呼んだりしません。私と貴方の2人です。
恥ずかしがり屋なのは直らなくても良いんですよ。
来週の正午、いつもの公園で待っています。
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〈君を探して〉