anonymous

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11/27/2023, 3:51:08 PM

君は、冷えたグラスにゆっくりと
溢れそうなほどたっぷりと注いでくれた。
アルコールを含んでいないはずなのに
いつの間にか酔いは回る。


愛情

11/27/2023, 10:09:57 AM

甘くうるんだ瞳が目蓋を押し上げて、
それまで映していた別の世界の物語を
丁寧に溶かしていく。

透明で冷たい空気と温い羽毛布団が絡み合い、
カーテンの隙間からは真っ白な光がはみ出している。

いつも通りの、味気ない1日の最初の一コマ。
昨日より少し多忙な頭は
重力に逆らえず、ぼうっと天井を眺める。

-燻る違和感に気付かないふりをして
学生とサラリーマンで溢れる満員電車の一両目に
私の空間を作るのは目と目を合わせる、それだけのため。
降りる駅のホームで君と。


微熱

11/20/2023, 1:41:42 PM

もしもだれかが宝探しを始めたら、
地図をみるのが苦手なわたしは
きっと一番にはなれないだろうから、
君のところにばつ印はつけないでおこうとおもう。


宝物

11/19/2023, 4:49:27 PM

甘ったるいクリームに埋もれて、
そこから逃がれられない曖昧な灯りが
居場所であるはずの蝋を溶かしていく。
私はため息をつくように
揺れる雫を暗闇から釈放した。


キャンドル

9/2/2023, 2:27:54 PM

こつこつと扉をノックする音が聞こえる。
薄暗い張り詰めた空気を揺らしながら近づいてくる。
感じ慣れた気配に触れて、やっぱり遠慮という言葉を知らないのだろうと甘い溜息をつく。
ただじっとこちらを見つめてから、マッチを擦る。
久しぶりに灯る蝋燭。
もっと大切にするんだよと、
お月様みたいなランプシェードを被せてくれる。
部屋にこぼれた君の柔らかい声を一つ一つ拾いながら、今日も私は、その優しさに壁が蕩けていくのに
気が付かないふりをしている。


心の灯火

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