甘くうるんだ瞳が目蓋を押し上げて、
それまで映していた別の世界の物語を
丁寧に溶かしていく。
透明で冷たい空気と温い羽毛布団が絡み合い、
カーテンの隙間からは真っ白な光がはみ出している。
いつも通りの、味気ない1日の最初の一コマ。
昨日より少し多忙な頭は
重力に逆らえず、ぼうっと天井を眺める。
-燻る違和感に気付かないふりをして
学生とサラリーマンで溢れる満員電車の一両目に
私の空間を作るのは目と目を合わせる、それだけのため。
降りる駅のホームで君と。
微熱
11/27/2023, 10:09:57 AM