11/30/2023, 10:07:20 AM
冷え性なんだ、と両手を差し出してきた君。
そうなんだ、とポケットから手を出す僕。
外の空気に触れた手が、
迷ってしまうくらいに曖昧な関係に
まだ名前もつかないうちに
暖かい季節がドアを開ける。
冬のはじまり
11/27/2023, 3:51:08 PM
君は、冷えたグラスにゆっくりと
溢れそうなほどたっぷりと注いでくれた。
アルコールを含んでいないはずなのに
いつの間にか酔いは回る。
愛情
11/27/2023, 10:09:57 AM
甘くうるんだ瞳が目蓋を押し上げて、
それまで映していた別の世界の物語を
丁寧に溶かしていく。
透明で冷たい空気と温い羽毛布団が絡み合い、
カーテンの隙間からは真っ白な光がはみ出している。
いつも通りの、味気ない1日の最初の一コマ。
昨日より少し多忙な頭は
重力に逆らえず、ぼうっと天井を眺める。
-燻る違和感に気付かないふりをして
学生とサラリーマンで溢れる満員電車の一両目に
私の空間を作るのは目と目を合わせる、それだけのため。
降りる駅のホームで君と。
微熱
11/20/2023, 1:41:42 PM
もしもだれかが宝探しを始めたら、
地図をみるのが苦手なわたしは
きっと一番にはなれないだろうから、
君のところにばつ印はつけないでおこうとおもう。
宝物
11/19/2023, 4:49:27 PM
甘ったるいクリームに埋もれて、
そこから逃がれられない曖昧な灯りが
居場所であるはずの蝋を溶かしていく。
私はため息をつくように
揺れる雫を暗闇から釈放した。
キャンドル