特別な日だからじゃない。
大好きな人と過ごしたいと思ったのが、たまたま今日だっただけ。
たとえあなたが、別の誰かと大切な時間を過ごしていたとしても想うことは自由だもの。
だからひとりぼっちで食べるケーキだって、いつも通り美味しいわ。
「クリスマスの過ごし方」
会えないのは分かっている
もう二度と会えないのは
それでも会いたい気持ちは膨らんでいく。
会いたい、声が聞きたい、またあの優しい笑顔を見たい。
遠く
遥か遠くへ行ってしまったあなた
私もそのうちそちらに行くから
また会える日まで 精一杯生きるから
だからどうか、
さよならは言わないでください
先程まで明るかった(と言っても夜空だが)空が、一気に暗くなる。
明るすぎる光の点滅が地上を照らした数秒後、低く唸るようなゴロゴロゴロ……という音。
そして再び、ビルのネオンより明るい光。
その光は、廃墟の端で息を潜める私の姿もくっきり映し出す。
地面に浮かび上がった己の影に、思わずびくりとしてしまった。
好奇心など出さなければ良かったのだ。
そう思っても後の祭り。
頬にポタ、と大きめの水滴が落ちてきた。
雨が 降るのか
濡れる前になんとかここを出たいが、出口が分からない。
おかしな話だと思うだろうが、私は本当に『どこから入った』のかも『どこから帰るのか』も分からない……というより知らないのだ。
気付いたらここに居て、アレに追いかけられたのだから。
そういえばアレはどこに行ったのだろう。
ポツリ
ポツリ
ポツ
だんだん雨粒が増えてきた。
土砂降りになるだろう。
このまま濡れるのも嫌だ。
とりあえずどこか屋根のあるところに…………
【み ィ つ ケ だぁぁ】
立ち上がった私の頭上からした、嬉しそうな声
あの時あんなモノを拾わなければ
前を歩くヒトを追いかけなければ
見たこともない駅で降りなければ
そうしたならば……
【ず ッ ト ずッと 】
【ソレほしほしほしか】
【コレ た べ タ うま カ タ】
そう言って口の中から伸ばされた手が見せてきたのは、
なーんだ。
あの時失くなった指じゃないか。
そうか
最初から決まっていたのかぁ
バクン
たとえ嵐が来ようとも、
きっとこの人は私を離してくれないでしょう。
だから私は、ずっとこの崖にいるのです。
嗚呼
だから私も
こんな腐った肉しかついていないのだ
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連日の猛暑日に耐えきれないからと、海水浴を提案したのは誰だったっけ。
同じような考えを持った人々で溢れた海岸を見て、文句を言ったのは誰だったか。
ならばと、さほど遠くない川に変更しようと提案したのはどの人だっけ。
涼しくなるなら海でも川でも良かったしどうせ混んでるだろうなとは思っていたし車を出してくれているから感謝しているしさっき川辺に来る途中で備えられていたお菓子と花束を放り投げたのはアイツだし立ち入り禁止の札を叩き割ったのはあの人だし、そうだよ、私は何も言っていないししていないのに。
ねえ、
なんで私だけ
なんで私だけ、この子に引っ張られて沈んでいるのかしら。
※夏なので怖い話月間始めました!