黄桜

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11/10/2023, 2:35:28 PM

ススキは、古くから神様の依代として考えられているとそういう事にやたら詳しい教師が言っていた。
何故、そういう知識をパッと頭から引きずり出せるのかと聞くと、周りから頭良い奴に見えるだろうと如何にも中学生の様な回答が返ってきた。実際は、30代の教師だが心はどうやら中学時代を徘徊しているようだ。
そんなところで、1つ疑問に思った事を聞いてみた。神を信じているのかと、ところが返ってきた回答は見えないものは信じないタチだとドヤ顔で宣言された。あの時の、私の顔はおそらく酷く呆れた顔をしていたのだと思う。
でも、私も同感だ。見えないものに縋り付く人々の心境を理解しようと思った事はない。だって、もし神とやらが存在しているのなら人が殺しにかかろうとするからだ。人は理解のできないものを煙たがり、そして存在を撲滅しようとするのだ。

神を刈り取る。

お終い

追記
ススキ=神

11/6/2023, 12:14:22 PM

柔らかい雨が私の肌から弾かれて下へ下へと滑り落ちていく。本当に今日の自分は運が尽きていると思った、と言うのもこの数時間前にも、同じような雨に降られたばかりであり、丁度、着替えを終えて帰ろうとした時に2度目の雨に降られたのである。
数時間前の雨のようにすぐ止むだろうと考えていたが、どうやらその考えはハズレたようだ。結局、私は近くのコンビニからビニール傘を買い帰路についた。

雨は、こちらの都合を伺わない。

お終い

11/1/2023, 1:29:41 PM

永遠に、眠ってしまえ。どうして、私達が逃げ続けなければいけないのだろうか。逃げ場を探して逃げ続ける、こんな事、心の傷を隠す絆創膏にもなりやしない。
消してやる。お前達の隠していた存在だけを残して、お前が大切にしているものを全て失わせてやる。毎日、コツコツと研ぎ澄ましたナイフがその肉体も心さえも切り刻む瞬間だけを私は心待ちにしているのだ。
目を覚まして、白い天井と対面する。これの繰り返し、あんなに強気な言葉を、心では吐くことが出来ても私は病院のベッドから出る事はできない。彼奴らに、つけられた傷がマグマの溶岩のように煮えたぎって熱が発生しているのを感じる。その熱を冷ますかのように、私の瞼の隙間から堪えきれなかった涙が枕に流れ落ちていった。

永遠に、忘れねぇからな。

お終い

10/30/2023, 9:09:13 AM

もう一つの物語なんて、漫画や小説やドラマやアニメでしか見聞きする事ができない。それは、私達の想像力で生み出された産物であって、現実では無いからだ。
だから、私は人生においての重要な選択肢を可視化できるようになればいいのにと考えている。普段から、私達が選択する際にパネルが浮かんできて、その中から自分に合う選択を周りにも見える形で選択する。
そうすれば、多少は心が救われる気がする。傷ついた心も体もいつか糸で縫い付けられたボタンのように切り離さなければと思ってしまうこの脳ミソににも微かな選択肢を与えて欲しいものだ。

自分を救える、物語があるのなら。

お終い

10/28/2023, 11:55:42 PM

暗がりの中で、異質なモノを見つけた事がある。ただ、直感的に、あれはダメだと肉体が拒絶するように、全身の毛穴が開いた時の痺れ具合が、あの時私の全身に走っていた。今、思えばあれはこの世で最も関わりを持ってはいけないモノだったのだろう。
なぜなら、家まで走り帰って家族に言われた言葉がなんで全身血塗れなのだと叫ばれたからだ。勿論、私はモノに触れてはいない。何より私自身が体を見ても血など1滴も付着していなかった。
けれど、見つけた事がいけなかったのだ。この後、家族は私を近くの寺に連れて行きお祓いを受けさせた。お祓いを受けている最中に、私を取り囲むようにあの異質なモノが私との距離を詰めようとしているのが見えた。私は、全身の毛穴から体の水分が全て出ていくのではないかと思う程に、汗が流れ出ていた。
だが、汗が流れる度にあの異質なモノは私の目の前から少しづつ姿を消していった。結局全て居なくなるのに、8時間近くもかかった。私は暗がりの中に、潜り込むことは二度としないと誓った。

暗がりの中を、探すな。

お終い

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