黄桜

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暗がりの中で、異質なモノを見つけた事がある。ただ、直感的に、あれはダメだと肉体が拒絶するように、全身の毛穴が開いた時の痺れ具合が、あの時私の全身に走っていた。今、思えばあれはこの世で最も関わりを持ってはいけないモノだったのだろう。
なぜなら、家まで走り帰って家族に言われた言葉がなんで全身血塗れなのだと叫ばれたからだ。勿論、私はモノに触れてはいない。何より私自身が体を見ても血など1滴も付着していなかった。
けれど、見つけた事がいけなかったのだ。この後、家族は私を近くの寺に連れて行きお祓いを受けさせた。お祓いを受けている最中に、私を取り囲むようにあの異質なモノが私との距離を詰めようとしているのが見えた。私は、全身の毛穴から体の水分が全て出ていくのではないかと思う程に、汗が流れ出ていた。
だが、汗が流れる度にあの異質なモノは私の目の前から少しづつ姿を消していった。結局全て居なくなるのに、8時間近くもかかった。私は暗がりの中に、潜り込むことは二度としないと誓った。

暗がりの中を、探すな。

お終い

10/28/2023, 11:55:42 PM