黄桜

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10/17/2023, 10:46:37 PM

忘れられない記憶というのは、大抵が体や心に傷をつけられた時の記憶が多い。というより、圧倒的に嫌な事の方が記憶に残りやすいのだ。
なぜなら、それらの記憶は許さないという明確な怒りが込められているからだ。親に理不尽に怒られた記憶が残っているのならば、今の親は好きだけど、過去の親は嫌いという感じのイメージだ。
だからこそ、私達は苦しまされ続けるのだ。いじめの主犯がいじめをしていても、してないと言うように、いじめられた側は、そのいじめの内容、いじめの主犯の幻影が自身に言葉のナイフという、見えない暴力を行使し続けていることを忘れたくても忘れられないでいるのだ。

記憶のフィルムを切り取れたならば。

お終い

10/15/2023, 10:17:06 AM

不思議な夢を見た。私は、黒い空間に白虎と共に閉じ込められているのだ。流石というべきか、夢だからと言って超能力が使える訳でも、特別運が良い訳でもない。
つまり、現実と同じくいつ死んでもおかしくない状況なのである。目の前の白虎は私から視線を逸らす事はない、獲物を見つめ、鋭い眼差しで狩るべき相手を見定めている。
けれど、そんな時間も長くは続かなかった。私も視線を決して逸らすまいと瞼に力を込めていたが、目の水分が限界を訴えて瞼から力が抜けた。気がつけば、私は自宅のベットから転げ落ちていた。全身が痛かったが、何より痛んだのは胸にかけて白虎の爪によって切り裂かれた腹の部分だった。

獣から目を逸らすな。

お終い

10/14/2023, 10:08:35 AM

大人のプライドは高く高く、子供の姿勢は低く低く。こんな感じで、幼少期を過ごしました。そんな生活が続くと、自己肯定感はかなり沈み、口からは自分を更に深く陥れる言葉ばかりが紡がれました。
ですが、今は何故か不思議と高い高い所にいこうとしています。下手な嘘でも笑い飛ばせるくらい、機嫌が良いのです。まあ、これも長くは続かないけれど、それでも少しではあれど、自分を自分で愛せるくらいには成長したらしいです。今度の目標は何にしようかと、私は呑気に次への挑戦を頭で展開した。

自分を愛する事を高く高く目標に掲げてみた結果。

お終い

10/13/2023, 10:14:48 AM

子供は大人より賢いのだと感じる瞬間があった。大人になるにつれ、子供の時のような素直さが減ったように感じた。体は、身長が伸びれば体重が増える。それと同じように肉体的にも精神的にも大人にならなければいけなかった。
けれど、私は肉体面は順調に成長したが精神的成長に支障をきたす事柄が起きた。その日から大人と同じような振る舞いをしなくてはいけなくなった。このおかげで、私は周りから精神的には安定しているかのように見られるようになった。そんな訳ないだろうと大声で助けを乞う事が許されるなら、私は涙でぐちゃぐちゃな顔を表に出す事ができただろう。
けれど、私は今日も仮面を被っている。仮面の下にある子供の面を針金で皮膚と仮面を縫い付けている。この痛みが無くなるのは、いつになるのだろうか。もしかしたら、なんて期待は打ち砕かれる前に捨てているというのに、何が私を痛めつけるのだろうか。

子供のように、助けを乞う事が出来る強さを。

お終い

10/12/2023, 10:19:03 AM

放課後であろうと、ここの教室には何も無い。黒板をチョークで汚す教師も、甘酸っぱい恋愛を頭に妄想をする男女も、何より私の邪魔をする奴もいない。
つまり、私ひとりしかいない空間なのである。よく、放課後と言えば好きな人に告白するのに打って付けだとか言うロマンチストもいるが、正直自分のお気に入りの時間と場所を喰われるのはストレスが溜まる。
私は、ただでさえ人の気配のない映画館で過去の自分の映像を見ていた。昔の自分に共感し、挙句の果てにかつてのストレスまでこちらに共鳴して頭が痛い。
だが、この映像が止まる事は無い。なぜなら、これは映画なのだ。現実と同じで夢の中だろうと自分の意思で止められるほど融通は利かないのだ。そして、何より私自身がそれを許しはしないからだ。

放課後は終わらない。

お終い

秘話

カーテンの話とリンクしています。

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