題:今出来ていることは
「あー、やっぱり暑い日に食べるアイスは格別ね!」
「ふふ、そうですね」
太陽の光が燦々と降り注ぐ暑い日。ピーチとロゼッタは木の下のベンチに腰掛けて、それぞれアイスを食べていた。
「こうして暑い日にアイスを食べることも、今を生きているからこそ出来ることなのですね」
「あら、今生きていることに感謝?」
「まあ、あながち間違いではありませんね」
ロゼッタは、普段ピーチと話すことも、チコ達と過ごすことも今を生きているからこそ出来ることだと思った。
今を生きていなければ、こんな事は出来ないだろうから。
「確かに、今を生きさせてくれている神様に感謝しないとね」
「……そうですね」
二人は空に向かって微笑み、談笑を再開した。
その間手の中にあったアイスは、今を生きるかの様に、冷気を零し続けた。
お題『今を生きる』
題:宇宙が煌めいた日
黒で統一された宇宙に一つ、煌めきが見えた。
また一つ、また一つ、煌めきが見えた。
そしてーー。
宇宙は、煌めきに包まれた。
「……綺麗」
無意識に、言葉が溢れた。
この景色を見ることは、もう無いだろう。
だけど、この煌めきを、いつまでも心の中に灯しておきたい。
本気で、そう思った。
この日は……、『宇宙が煌めいた日』は、私の中で特別な日になりました。
お題『special day』
題:涼やかな音。
チリン……。
涼やかな心地良い音が、部屋に響いた。
あの風鈴は、七夕の際買った物だ。金魚が泳いでいる絵が描かれた風鈴。
金魚達は優雅に泳ぐ。楽しそう。
来年の夏も、この風鈴で過ごそうかな。
お題『風鈴の音』
題:逃避行はほどほどに
ーーなんでこんな人達がいるんだろ。
夜の帳を降ろし始めた窓の外をぼんやり眺めながら、ピーチはそんな事を考えていた。
ピーチは、キノコ王国で一番頭の良い学校に通っていた。しかし、いつの時代にもいじめはある。そのターゲットがピーチであった。
最初は物を隠される程度だった。だが、日に日にエスカレートしていくいじめ。
その内ピーチは『現実逃避』をする様になった。
『現実逃避』といっても、“心だけ”逃避行しているのだ。理解が難しいが……。
〜翌日〜
「なんでまた来るのかしら。馬鹿ね」
ーー今日もか。
ピーチは内心諦めた。
毎日毎日この繰り返し。正直面倒だ。
下校。一人で足早に校舎から去る。と、
「ピーチさん、今日、一緒に帰りません?」
私の隣に来て話しかけてきたのは、学校一の美少女と賞されるーーロゼッタだった。
「え、でも……」
「いいんですいいんです!さ、行きましょ」
ーー……良いのかな……?
「……ピーチさん、逃避行は、ほどほどにしてくださいね」
「!」
意味深な言葉を言ったあと、ロゼッタは話題を変えた。
ーー……バレてたのね。
ロゼッタには敵わない。
お題『心だけ、逃避行』
題:あの日の星の海は
初めてチコと星の海を旅した時、私はママが星の世界にいないと言って泣いた時、自分を犠牲にしてまで慰めてくれたわよね。
あの時の景色は忘れられない。
そう、あの時の景色は……優しくて、とても美しいものだった。
今の私は、もういないママと、ほうき星になった貴方を、愛そうと思うの。
お題『あの日の景色』