題:逃避行はほどほどに
ーーなんでこんな人達がいるんだろ。
夜の帳を降ろし始めた窓の外をぼんやり眺めながら、ピーチはそんな事を考えていた。
ピーチは、キノコ王国で一番頭の良い学校に通っていた。しかし、いつの時代にもいじめはある。そのターゲットがピーチであった。
最初は物を隠される程度だった。だが、日に日にエスカレートしていくいじめ。
その内ピーチは『現実逃避』をする様になった。
『現実逃避』といっても、“心だけ”逃避行しているのだ。理解が難しいが……。
〜翌日〜
「なんでまた来るのかしら。馬鹿ね」
ーー今日もか。
ピーチは内心諦めた。
毎日毎日この繰り返し。正直面倒だ。
下校。一人で足早に校舎から去る。と、
「ピーチさん、今日、一緒に帰りません?」
私の隣に来て話しかけてきたのは、学校一の美少女と賞されるーーロゼッタだった。
「え、でも……」
「いいんですいいんです!さ、行きましょ」
ーー……良いのかな……?
「……ピーチさん、逃避行は、ほどほどにしてくださいね」
「!」
意味深な言葉を言ったあと、ロゼッタは話題を変えた。
ーー……バレてたのね。
ロゼッタには敵わない。
お題『心だけ、逃避行』
7/11/2025, 1:59:27 PM