彗星

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7/13/2025, 7:13:54 AM

題:涼やかな音。

 チリン……。
 涼やかな心地良い音が、部屋に響いた。
 あの風鈴は、七夕の際買った物だ。金魚が泳いでいる絵が描かれた風鈴。
 金魚達は優雅に泳ぐ。楽しそう。
 来年の夏も、この風鈴で過ごそうかな。

お題『風鈴の音』

7/11/2025, 1:59:27 PM

題:逃避行はほどほどに

 ーーなんでこんな人達がいるんだろ。
 夜の帳を降ろし始めた窓の外をぼんやり眺めながら、ピーチはそんな事を考えていた。
 ピーチは、キノコ王国で一番頭の良い学校に通っていた。しかし、いつの時代にもいじめはある。そのターゲットがピーチであった。
 最初は物を隠される程度だった。だが、日に日にエスカレートしていくいじめ。
 その内ピーチは『現実逃避』をする様になった。
 『現実逃避』といっても、“心だけ”逃避行しているのだ。理解が難しいが……。
 
                                         〜翌日〜

「なんでまた来るのかしら。馬鹿ね」
 ーー今日もか。
 ピーチは内心諦めた。
 毎日毎日この繰り返し。正直面倒だ。
 下校。一人で足早に校舎から去る。と、
「ピーチさん、今日、一緒に帰りません?」
 私の隣に来て話しかけてきたのは、学校一の美少女と賞されるーーロゼッタだった。
「え、でも……」
「いいんですいいんです!さ、行きましょ」
 ーー……良いのかな……?
「……ピーチさん、逃避行は、ほどほどにしてくださいね」
「!」
 意味深な言葉を言ったあと、ロゼッタは話題を変えた。
 ーー……バレてたのね。
 ロゼッタには敵わない。

お題『心だけ、逃避行』

7/9/2025, 9:36:30 AM

題:あの日の星の海は

 初めてチコと星の海を旅した時、私はママが星の世界にいないと言って泣いた時、自分を犠牲にしてまで慰めてくれたわよね。
 あの時の景色は忘れられない。
 そう、あの時の景色は……優しくて、とても美しいものだった。
 今の私は、もういないママと、ほうき星になった貴方を、愛そうと思うの。

お題『あの日の景色』

7/7/2025, 10:22:27 AM

題:赤の花火

❁七夕

 今日は“七夕”という日らしい。
 ハイラルでも七夕には祭りが行われる。
 祭りの内容は、主に短冊という紙に願い事を書き、笹という外国の植物にそれをつける。
 私は特に願い事は決めてないけど……リンクと屋台回るの楽しみだな。
「お待たせ」
「あ、リンク!」
 いつもと変わらない、そんなリンクが私は好き。幼馴染だし。
「じゃあ、行こっか」
「うん!」
 リンクと手を繋いで進む。この人混みじゃ迷子になるかもしれないし。それよりも……。
 ーーリンクの手、温かいな。
 リンクと手を繋いでいられるのが嬉しくて、ついつい手に力が入ってしまう。
「ん、どうしたの?ミファー」
「あ、ううん、何でもないの」
 本当のこと、言えないよ。

❁花火

 屋台を回りきった私達は、願い事を書きにいった。
「短冊書き終わったら、ここ集合ね」
「うん、分かった」
 私達は願い事を書きに、それぞれ別れた。
 何書こうかな。事前に決めてれば良かったな。リンクと行けるのが楽しみで考えてなかった。
 ……誰も見ないだろうし……。
『リンクに“好き”と言えますように』
 本音。これは叶えてほしいな。
 私は短冊を笹に付けようとして……リンクの名前があることに気付いた。
 何て書いたのかな。失礼だけど……ちょっと見ちゃおう。
『ミファーに告白できる勇気をください』
 ……。
 いやちょっとちょっと!?間違いだよね!?念の為もう一回……。いや書いてある!ちょっとこれはオーバーなのでは……?私も似たようなこと書いてるけど!!
 手が震えて中々付けられなかったけど、なんとか付けることができた。
 集合場所に集まって。
 私達は花火を見た。周りに障害物は何も無く、とても綺麗に見えた。
「ねえミファー」
「なあに?」
 青色の花火が終わろうとしている。
「俺、ミファーのこと……好きなんだ」
 リンクが言い終えたのと赤い花火が上がったのは、同時だった
 神様、これは夢ですか?でなければここは天国でしょうか?
 リンクと買ったお揃いの青と白のブレスレットが鳴る。
 ーー私も、好きだよ。
「……私も、好きだよ」
 この告白の時は、花火の時限定でしょうか。

お題『願い事』

7/7/2025, 8:55:07 AM

題:夏の終わりまで

 私は生まれて初めて、恋に堕ちました。
 その相手は人気者で、誰にでも優しく、信頼されていました。
 何度も告白しようと思いました。でも、勇気が出なかった。
 私はよくその人と話していました。話す度、心臓がドキドキと煩くなるのです。
 そして、友達から聞いたことなのですが、その人には好きな人がいるのだそうです。
 もしかして私かも、という淡い期待もありましたが。
 見てしまったのです。
 その人は隣にいる美しい金髪の女性と、とても楽しそうに、少し頬を赤く染めて。話していたのです。
 私は悟りました。
 ーーああ、貴方の好きな人は、その方なのですね……。
 胸が締め付けられるようでした。
 でも、その人は本気であの方が好きなんだという現実は変わりません。
 だから、私は……。
 だから私は、その人を諦めました。早くあの方と幸せになれることを願って。
 私の初恋は、秋に入る前に、終わりました。

お題『空恋』

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