燈翠。

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6/14/2024, 5:12:35 PM

∮あいまいな空

毎日、丘の上にある家に帰る坂道を自転車で漕いでいく

いつもどおりの変わらない景色の中で

唯一姿を変えるもの

いつも空を見上げれば、365色のパレットが空を彩っている

ある時は朱々と染まる夕焼けだったり

ある時には快晴の星空が散りばめられていたり

何気なく見ている空を見て、ふと思ったことがある

『この空は、もう2度と見られない景色なんだ』

そう思うと無性に切なくなって、目一杯記憶に留めておこうとしてみるけど

3日も経てばその色は朧げで、あいまいだ

カメラ越しに遺したって、それは〝あの時〟の空なんかじゃなくて

だからいつも、そんなあいまいな空を眺めながら

変わらない景色だと思い込んで日々が過ぎていく

あなたは、昨夜の空の色を憶えていますか?

6/3/2024, 3:10:02 PM

∮失恋

恋の終わり方には色々な形があるけれど

別れたからといって

必ず恋を失う訳ではないように思う

胸の中の灯火が、少しずつ、少しずつ、

小さくなって失われるのを待っている

でも、心から消えたとしても

いつかあんなときもあったなと

幸せだった記憶を思い出して笑いたいから

この名残は失いませんように

5/26/2024, 1:07:14 PM

∮月に願いを

平安の時代、人々は今よりも遙か澄みわたる夜空を見上げ詩を詠んだ。

天の川でさえも燦爛と輝いて見えるだろう空へ

人々は月を謳った。

その当時に生きる者にとって月とは、

夜を照らす希望であり

別れを告げる余韻であり

共に空を仰ぎみる道導であった。

星に願いを祈る私たちは、月を見ているようで視れていなかったのかもしれない

何時だって月は、太陽よりも傍で私たちを見守っている

星を探して見上げる前に

お天道様に見られる前に

月に願いを

5/20/2024, 2:55:41 PM

∮理想のあなた

理想ならいくらでも妄想を掻き立てたことがあった

まずは、勉強もスポーツもできる。

その〝できる〟になるまでに努力を重ねられる。

現実から目を背けずに真っ向から立ち向かう。

そしてその勇気が報われて実を結ぶ未来。

どれも叶わずにいる今が、どうしようもなく虚しい

手を伸ばせば届きそうなのにな

ねえ、理想の自分へ

あなたの見る景色はどれほど輝いてるの?

私もそこに辿り着けるかな

返事はない。その代わり、微かな希望を胸に抱いてる、

ありのままの自分が居た

5/17/2024, 2:52:20 PM

∮真夜中

昔はあんなに苦手だった夜の暗さが、いつから味方になったのだろう。

今ではすっかり真夜中の虜になってしまった

目が覚めて眠れない時、丑三つ刻に至福の珈琲を1杯。

ふと、昔のことを思い出す

キャンドルの灯火を眺めながらぼんやりとしていたあの時と今で、何か変わったのだろうか

季節は移ろい、気持ちも虚ろう

真夜中の黒が思考を塗りつぶしてくれる夜は考え事に最適だ

夜は更けていく。

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