2人だけの。
次は
出席番号7番だから
本間さんお願いします。
はい。
わたしには、妹がいます。今は5才です。
妹とはけんかばかりで、あまりすきじゃありませんでした。なんでかというと、妹というだけでわたしのすきなものを取っていくからです。
わたしの大事なおもちゃも、おやつも、お姉ちゃんだからがまんしてって言われるのでがまんしています。
この前、お母さんはおやつの時間にプリンを買ってくれました。わたしはプリンがすきなのでうれしかったです。でも、お父さんが間違えて食べてしまったのでプリンは1個しかありませんでした。
わたしはどうしてもプリンを食べたかったのですが、また、お姉ちゃんだからがまんしてって言われることを想像して悲しくなりました。
悲しくて、自分のへやにもどったら、妹がプリンを持ってわたしのところに来ました。「ねぇねがすきなやつだから、あげる。」と言われて嬉しくなりました。
ねぇねがすきなやつだから、あげる。
いいの?
うん。
なごみもすきでしょ。
でもねぇねもすきだから。
じゃあ、いっしょに食べよっか。
いいの?
うん。
やったあ。
でもプリンだけじゃ食べられないから
スプーンも持ってきて!
わかった!
わたしは、妹がスプーンを取ってくる間にちょびっとだけないてしまいました。そのときすこしだけ、妹のことをすきになりました。
ねぇね、スプーンもってきた!
じゃあ食べよっか!
うん!
2人だけのプリンだね。
おいしいね。
「わたしの妹」2年2組、ほんま みき。
夏
高温多湿で嫌な気候の半面
人間の独特な思い出が残りやすい季節。
かくいう私も奇妙な思い出がある。
幼少期
私は友人が少なかった。
少しの暴力性と濃い感受性の豊かさ。
めんどうくさいガキであったことは
自分でよく理解している。
だから 海や夏祭りなど
数少ない友人は
私より仲の良い友人と遊びに行くため
飼っていたクーという中型犬と共に
遊ぶことが多かった。
クーは私によく懐いていて
家族を含む他の人によく唸る忠犬だった。
小学五年生
公園で最近引っ越してきた子と友達になった。
仮に名前をK子とする。
K子の家は転勤族だそうで短い交友期間であるだろうがたくさん遊びたい。
など話していたことをよく思い出す。
夏休み
K子は夏祭りには行きたくないと私に告げた。
私も同じことを思っていた。
今更出先での楽しみ方も分からなかったため
現地集合で海水浴に行くことにした。
当日
私はK子にクーとも仲良くなってほしい思いで
内緒で連れてきてしまった。
待ち合わせ場所にK子はおらず
多少待つことも覚悟して近くのベンチに座ろうとしたとき
なんの音もなく目の前にK子が現れた。
「お待たせ」
そう言う彼女に驚いて声も出ない私は
そばにクーがいないことに気づいた。
私には懐いていたとばかり思っていたために
クーが私から離れてしまったことにすっかり悲しくなってしまった。
ただ泣くことしかできず
K子は何が起きたか分からない様子だった。
海水浴どころではなくなってしまった。
「クーはずっとそばにいるよ。きっと。」
涙を切るように出されたそのたった一言に
私はたちまち安堵した。
涙で霞んだ視界にクーはいた。
笑顔のようにも見える顔で私の目の前にいた。
しかしK子はいなかった。
なぜいなくなってしまったのか
理解が及ばず新しい悲しみに心奪われながら
クーと共に砂浜を駆け回り
帰宅した。
何回
何日
公園に行ってもK子は来ない。
しばらくしてクーも死んでしまった。
私の大切なたった二人の友人は
もういない。
些細な違和感が
私を夏に閉じ込めるには
ちょうど良い奇妙さであった。
隠された真実
おいきみ、宇宙人を信じるかい。
え、いや...。
そうかい。現実主義でいいじゃないか。
でも僕はいると思っていてね。
あのすみません、どなたですか。
僕が誰かはどうでもいいんですが...
高橋と言います。よろしく。
え、あ、上野です。
今の時代、この国は誰でも来れる状態だ。
宇宙人はすでにこの地球に進出していて、我々と変わらない見た目で暮らしているという説さえある。
あの、気になるので聞くんですけど。
なんですか。
宇宙人は人間よりも技術が発達していると聞きます。なので別に地球に来る必要は無いのではありませんか。
まぁ、それもそうだが。技術だけが目的では無いのかもしれない。
じゃあ何が目的だと思うんですか。
ずばりだな、休息だ。
休息。
ああ、我々より技術が進んでいるからこその悩みもあるのかもしれない。
なるほど。
例えば、全てをオートマチックにした結果、職に就けなくなってしまったとか。逆に忙しくなってしまいこちらに旅行しに来たとか。
それは、なんとも人間くさい宇宙人ですね。
例えばの話だ。
あの話に盛り上がっているとこ申し訳ないんですけどこれから予定があって。
うん、見たところ成人ではなさそうだし塾といったところかな。
うーん、まあちょっと、勉強を。
そうか。頑張りたまえよ。
タカハシ、だっけ。
なんでわかったんだろうなあ。
風鈴の音
わたしはあまり好みません。
流行りにあやかろうとする方々を
小馬鹿にしている訳でも
ガラス職人を貶したいわけでも
なんでもないのです。
言い方が悪いのでしょうか。
好む好まない気持ち以前に
蝉の声を好む話をしたいだけなのです。
反対にみなさま蝉の声はお嫌いでしょう。
わたしは蝉の声は好きでして
聞いているときは
どれだけ聞こえないふりをしても
逃がさないと言わんばかりに聞こえますでしょう。
あれにうんざりする方が大半だと
きっとそうだと思います。
しかし蝉のいない暑さというものは
なんとも違和感のあるものでして。
わたしたちをしめ殺すかのような湿気と
太陽の照りだけというのは
心寂しいと言いますか。
夏というにはまだ欠けている気がします。
風鈴の音も蝉の声も
夏の風物詩ではないかという
意見もご最もでございます。
しかしわたしは思うのですよ。
わたしだけかと思いますが。
ストーブやら暖房やら
そのような機械的なものではなく
風物というものの中で
夏が去って冬が来る季節。
暖かさを求めるときに欲しがるのは
風鈴の音ではなく蝉の声だと。
届いて.....
この世界が好き
ただそれだけである
理不尽で悪意を含んだもの
知恵のない無自覚な悪意
歪んだ私の心
それでも我が星は強く生きている
無垢で綺麗で
時に理不尽で残酷なこの星に住んでいること
なんとなく、けれど力強く
好きである
エゴで自己中心的である我々種族を
私はひどく嫌いであるが
この星に住むことを
誰も皆好きであってほしいと
そう思わせたい
これが利他的であるのか利己的であるのか
これら矛盾を抱えたまま
私の人生は終わるだろうが
この何にも形容し難い気持ちが
この星に届けば
我々種族にも届くと信じたいから
どちらにしろ私は報われたいから