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9/30/2024, 1:38:29 AM

『静寂に包まれた部屋』

何もかもが嫌になって投げ出したくなって、
耳を塞いでいた日々。

何を見ても、何を聴いても、何も知っても、
退屈だった。

楽しい気持ちすら、無くなった。




いつだったっけ?

とある日に道端ですれ違った人に、
自分が落としたハンカチを拾ってもらったことがあった。

その人はかなり遠いところから来ていたみたいで。

その人と今自分がいるところについて話したり、
ちょっとした悩み事を話したりしているうちに。


「そういえば、“透明空間”という名の休憩所、
見たことないかい?」


「いや…見たことないですね」


「おっかしいなあ…君、一度通り過ぎたことがあるはずだよ」


「え?なんで…」


「そろそろ家路につかなきゃいけない。私はこれで…」



そう言いながら、鈴のついた鍵を小さなカバンから出し、
去っていった。




透明空間…?休憩所…?

そんなところあるのかな?と思いつつ、
スマホのマップに「近くの休憩所」と検索してみた。


どうせただの休憩所しかないでしょ…と思ったが、
検索結果が出た。


error


あれ?電波でも悪いのかな?
ここらへん電波悪いなんて聞いたことないし…。


何回も検索してもerrorしか出てこない。



「…まあ、いっか。帰ろう…。」






そう諦めて帰ろうとした時、
鈴の音がした。


振り返ると、
“透明空間”と書かれた看板の休憩所があった。


「嘘でしょ…?」



恐る恐る近づいてみると、近くに猫が通り過ぎた。

猫は鼻先で、そっとドアを開けた。



猫は振り返り、鳴き声を出す。

入らないの?の言わんばかりの見つめ方。





“透明空間”に入ってみた。




一歩ずつ、歩を進めた。




何歩か進んでいくうちに、




通りすがりの猫はいつの間にか去って行った。


9/28/2024, 1:55:53 PM

『別れ際に』

鏡を見た。


醜すぎる。

醜すぎるよ、

ジブン。


刺激ばかりに負けてばかりで、
強いと思い込んでた花は元々枯れていて、
ずっとずっと負けていたんだ。

そんな事も知らずに前に進んでいたなんて。
いや、前になんか進んでないね、
後退ばかりだ、後退ばかりしている。
いい加減にして。


鏡を割ってやろうか、
割れるものならやってみろ、
割れる気すらしない、弱気、弱気だ。


どっちが自分/ジブンなのかがわからない。


もう鏡なんて見たくない。
ジブンは本当に生きているのか?

そもそも自分すら生きていないのに、
呼吸すらしていないのに、
何故ジブンが存在しているのだ?

ジブンが自分を無くしたのか?
どこかに落としたのか?


本当の自分を見つけねば…


ジブンという存在が映る鏡から去る。


鏡を見ない。

振り返りもしない。


ジブン/自分と別れたのなら、

もうなにもない、なにもない。




別れ際に全て無になるんだ


無にするんだ


これから