「飛べない翼」
わたしには飛べない萎れた翼がある。
でも、その1つ1つの羽を磨くと、飛べるようになれる。
どういう事を言いたいかわかる?
努力を積み重ねると大きな結果になるんだよ。
最近の若者は努力もしないで、報わるだのないだの。
努力した人にしか見れない景色ってものがあるんだよ。
失敗したからって諦めるな。逃げるな。
なんにも努力してこないから、すぐに病むんだよ。自分を甘やかすな。
日頃の行いが夢を掴むきっかけになるんだから。
ほら、はやく、翼を広げて夢に飛び出そうよ
「柔らかい雨」
柔らかな優しい雨が降る夕方に僕は誰にも見つからないように、家から飛び出した。
スマホも財布も何も持たず、走り続けた。
何処までも行ける気がした。
とにかく走って走って走った。
何時間走っただろうか、私は1人路地裏に立っていた。
さっきまでの優しい雨とは裏腹に、夜になると、大雨になった。風はビュンビュンなり、雨はザアザア降る。
勿論、着替えも羽織も持ってきていない。
1人、体育座りをして朝を待つ。
そんな途方に暮れていた矢先、誰かが傘を差し出し、雨を遮ってくれた。
顔をゆっくりあげると、お兄さんがしゃかんでいた。
「大丈夫かい?寒いだろう」
と心配げな顔をし、お兄さんは着ていたパーカーを私に貸してくれた。
そしてバックを漁り、お茶の入ったペッドボトルも差し出してくれた。
「ありがとうございます…!」
温かかった。
先ほどとは嘘と思えるほど優しい雨が降り注いだ。
わたしの頬に雫が落ちる。
その瞬間、わたしは貴方に恋をした。
「高く高く」
わたしは小さい頃から負けず嫌いで、上だけを見続けていた。
目標の為の努力を惜しまず、ずっと一番になるためだけに生きてきた。
でも気づいちゃった。
今までの努力は全て自分の為に頑張ったんじゃないんだってこと。
お母さんに見て欲しくて、見捨てられたくなくて、ずっと頑張ってきた。
もっと妹みたいに才能があればこの頭を撫でてくれたのかな、?
才能があるね、この言葉が嫌いだった。好きでギフテッドとして生まれたわけじゃない。いつも私が特別扱い。みんなと同じように普通の学校に通って、普通の勉強をしたい。
二度と叶わない夢を抱えながら、お母さんの機嫌をとる為に笑顔でいる。
嗚呼、お姉ちゃんはいいな。普通で、
そんな、才能があった双子の妹と、才能がなかった双子の姉の話。
「放課後」
わたしは恋心を抱いてる同じクラスの男の子に、「好きな子だぁれ?」と毎日聞くのが日課だ。
わたしがいくら好きな子を聞いても、「放課後におしえるね」というので教室でずっと待ち、2人きりになってからまた「好きな子だぁれ?」と聞き直す。
でも君は「やっぱ、内緒」と濁し、部活に行くために廊下を駆けていく。
「なにそれ…笑」と笑いながら君の後を追う。
彼とは同じ陸上部。
ハードルを笑顔で飛び越え、走りきる君の姿を眺めてたら、いつのまにか好きになっていた。
「好きな子だぁれ?」「やっぱ、内緒」
この会話をする時間が永遠に続けばいいのに。
「カーテン」
毎朝、カーテン開けて良い朝を迎えて、笑顔で登校して、まじめに勉強して、汗かいて部活する。
羨ましい。
別にいじめられた訳でも、家族崩壊とか起きたわけでもない普通なのに、不登校なわたしとは正反対に生きる双子の姉。
カーテンは開けずに薬のビンを開けて、数十粒口に運ぶ。ふわふわしてベッドに逆戻り。こんな毎日を過ごして楽しいはずがない。
もっとふつうに、笑顔で生きたかった。