『遠くの空へ』
窓を開けると澄んだ春風が吹いている。
机の中を漁って必要無さそうな紙を取り出す。
折れ目をまっすぐつけて、
対照的になるように折って...
よしできた。紙飛行機第一号。
腕をまっすぐ伸ばして...
腕で飛ばすじゃなくてふわっと離れていくように。
優しい春風に乗って紙飛行機は
左右に少しぶれながらも
学校の窓から静かに飛んでいった。
語り部シルヴァ
『言葉にできない』
葬式は順調に進んでいるようだ。
泣いてる人、悔やんだ顔をしている人...
思った以上に沢山来ている。
想像以上だ。
泣いている人に声をかけようにもかける言葉が無い。
伸ばそうとした手を下ろした。
...
言葉が出ない。いや、出せないか。
この気持ちはなんだろう...いや、もう心も無いか。
この葬式は俺の葬式だ。
死人には心も口も無い。
語り部シルヴァ
『春爛漫』
朝まで降っていた雨は止み、
透き通る青が顔を出していた。
車たちは花びらで化粧されたまま走り、
雨上がりに吹く風は普段感じる湿気と花びらを飛ばす。
桜のカーペット、桜のカーテン、桜の雨...
淡いピンク色が視界を覆い尽くす。
たくさんの春が昼時に溢れる。
このまま近くのベンチでお昼寝出来たらどれだけ最高か...
なんて思いながら近くに公園のベンチを見つけた。
...が、雨でべちゃべちゃだった。
残念ながらベンチでお昼寝はまた今度だ。
語り部シルヴァ
『誰よりも、ずっと』
「それじゃあ、行ってきます。」
少しくたびれた装備を纏って君はクエストに向かう。
少し前まで見習いだったが、色んなクエストを
一緒に行ったことで一人でクエストに行きたいと頼まれた。
なんだか僕から離れていくのは寂しかったが、
愛弟子となった君の成長する機会を邪魔しては行けない..
笑顔で行っておいでと背中を押すのが僕の役目だろう。
少し不安そうにこっちを見てきたので
君ならやれると目で伝える。
思いが届いたのか、君は表情をキリッとさせて
そのまま進んで行った。
君ならできる。
無事に帰ってくることを願いながら
君の帰りをここで待つことにした。
語り部シルヴァ
『これからも、ずっと』
大丈夫だろうか。
いや、相手じゃなくて自分のことに不安を抱いている。
君だからこそここまで来れたんだと思う。
君だからこそ僕も君を信じれた。
...いけない。いつもの自信の無さが出てきた。
大丈夫。大丈夫。
今日は楽しかったね。
君の言葉に顔をあげる。
日が沈み、夜が顔を出し始めた頃の世界に
君は照らされている。
あ、あのさ。
少し強ばったであろう声に君は笑いながら問いかけてくる。
君に近付き、小さな箱の中身を君に見せながら
今までで出したことの無いくらい勇気を振り絞り
思いを伝えた。
語り部シルヴァ