『溢れる気持ち』
もう...もう限界だ。
毎日毎日絡んできて...
それでもこっちが話そうとすれば離れていく。
とか思えばそばにいて欲しい時にはそばにいる。
人の気も知らないで...
まあ...思いを吐き出せないこっちも悪いけど...
でも、そんなこと言ってる場合じゃない。
これ以上はこっちが持たない。
"明日話がある。校舎裏に朝イチ集合ね。"
明日決着をつけてやる。
思いを全部...溢れた気持ちをぶつけてやる。
覚悟しろ。
語り部シルヴァ
『Kiss』
「んへへ。ちゅー。」
酔っ払った恋人はキス魔になる。
手で押しのけてもずっとキスしてくる。
ベタベタするまでキスしてくる。
そしてその内気分が悪くなってそのまま寝落ちする。
朝起きた時には何事も無かったように
先に起きてキリッとしている。
クール系なのに酔うとポンコツだ。
どうしてあんな酔いつぶれたのに
キリッとしてるのが不思議だ。
なんて思っていると寝起きにキスされた。
「おはよ。寝坊すけさん。」
昨日のキスとは違いあっさりしたキス。
それでも寝起きには強烈の一撃。
寒かった朝の寒気は恥ずかしさにかき消された。
語り部シルヴァ
『勿忘草(わすれなぐさ)』
今年18歳になったがあまり乗り気じゃない。
幼馴染がついこの前交通事故で亡くなってしまった。
家族のように辛かった。
この先もずっと一緒に色んなことできるなんて浮かれていた。
今日は雨。学校に行く気力も沸かない...
どうせ残り1ヶ月を切ってる。親しい友人もいなかったし...別にいっか。
そう考えているとインターホンが鳴る。
親は出かけている。荷物が来るなんて話も無かったはず...
荷物...というより手紙のような封筒が届いた。
押し花の栞だった。確か...勿忘草だったっけか。
"近くの花がものすごく綺麗だったから押し花にして栞作ってみた。よく本読んでるから良かったら使って。"
花言葉は...多分知らずに作っただろうなあ。
視界が滲んで手紙の文字がちゃんと見えなくなっちゃった。
語り部シルヴァ
『ブランコ』
こんな深夜でも星は輝いていて、
夜空に滲むように月明かりが照らす。
何もない田舎でも、こういうところは
胸を張って良い所だって言える。
帰省したときはいつもそう思う。
...逆にこれ以外にいい所が思いつかない。
一昨年に廃校になってしまった小学校まで散歩に来た。
こんな田舎に深夜に警備してる人なんていない。
そもそも校門なんて無いから侵入し放題だ。
広いグラウンドの隅に置かれたブランコに腰掛ける。
思ったより地面との距離が無く、
足を折り曲げると地面を擦ってしまう。
寒い中ブランコを漕ぐ。
鎖が鈍く軋む音を立てながら自分の体重を支えて前後に動く。
こんな時間に何をやっているんだろう。
小さい頃夢にみたことを実行した感想は...
大人になってしまったという絶望感と、
虚しさが残るだけだった。
語り部シルヴァ
『旅路の果てに』
...画角と比較して調整する。
あとは明るさとか設定して...写真を撮る。
撮った写真と過去の写真を見比べる。
ほとんど一緒。雲の位置が少し違うだけのレベルだ。
村から街を数え切れないほどほど通り抜け
永遠と続く山道を登り続けた。
ここまで随分と長かった。
一緒に歩いた仲間はいないけど、
ひとりだからこそ気楽にのんびり旅ができた。
かつて父が撮ってきた一枚の写真。
それがこんなにも壮大な旅路になろうとは...
それでも...いい旅だった。
父の背中を見て歩いた気分だった。
さて...帰ろうか。
語り部シルヴァ