『夢を見てたい』
目覚ましが鳴っている。
反射的に布団から手だけ伸ばして
スマホを掴んで引きずり戻す。
真っ暗な布団の中でスマホのあかりが眩しく光る。
目が慣れていくのと同時にスマホの明るさの自動調節が入る。
午前2時。起きる予定までまだ時間はある。
スマホを戻して目を瞑る。
0時には寝たはずなのにもう3回は起きている。
まだ...安定していないのかな。
どうか次は目覚ましが鳴るまで起きませんように。
好きな物をいっぱい食べたりとか、
可愛い犬や猫に囲まれたりとかそんな夢を見たいのに...
不安になりつつも布団のあったかさが意識をぼかす。
次は...次こそは...いい...夢を...
語り部シルヴァ
『ずっとこのまま』
デジタル時計が点滅する。もう少しで正時だ。
あと数時間もすれば寝ないといけない。
これまで好きな時間に寝て好きな時間に起きていたが...
ずっとそんな生活を送る訳にもいかない。
いい加減変わらないと。そう思いつつ求人票から
仕事をしらみ潰しに探し、やっとのこと内定を貰った。
心の準備を貰うというていで2週間ほど時間を貰った。
今日で最後の日だった。
さて...いよいよ始まってしまう。
ずっと目指していた社会人と、
ずっとこのまま堕落した生活を送りたい自分が葛藤している。
誰だって後者を選びたい。
そういわけにはいかないよなあと
どっかで救いを期待している自分にため息をついた。
何言ったってもう後戻りはできない。
そう言い聞かせ新しい生活に期待することにした。
語り部シルヴァ
『寒さが身に染みて』
ヒートテックを着た。
カイロを貼った。
厚手のジャンパーも着た。
フワッフワのマフラーを巻いた。
モコモコの手袋を付けた。
それなのに隙間さえあれば肌を
直接撫でるような寒さが全身に回る。
なんだこれは。身につけたもの全部お荷物じゃないか。
これだから冬は嫌いなんだ。
あーもうやだ。寒いし動きづらいし。
もう泣きそうだ。
感想で滲み出る涙すら北風は容赦なく吹き飛ばす。
せめて涙くらいは見逃してくれよ。
あーだから冬は嫌い。
語り部シルヴァ
『20歳』
20年。正直幼少期の頃なんて
覚えていないからだいたい16年間。
自分はもうそんなに生きたんだ。
なんてこと言えば「まだまだこれから」
なんて言われるだろうけどね。
それでも初めての成人の節目を迎える身としては
そんな風に思える。
これからの言動には社会的制裁が待ってるかもしれない。
軽はずみな言動が人生を終わらせるトリガーに
なるかもしれない。
そんな意識を叩きつけに来るのが今日という日だと思う。
まあ明日には
結局いつも通りの日常を迎えるんだろうけどね...。
語り部シルヴァ
『三日月』
楕円状にかけた月が空を灯す。
実際にはいつも丸い満月なのに
光の当たり具合で欠けているようにも見えるのは
不思議なことだ。
月もいつだって夜を優しく照らすほど余裕は無いのだろう。
私たち人間のように休ませる日が必要なのかもしれない。
そう考えると月も人の心も同じものなのかもしれない。
月も太陽がいないと輝けない。
人間も誰かがいないとずっとは輝けない。
どれだけ形が変われども
空を照らす優しさを持ち続けるその姿を見てるからこそ
月を見れば安心できるのかもしれない。
今日は三日月。もう少しで新月だろうか。
僅かな輝きで世界を照らす三日月に心で頑張れと唱えた。
語り部シルヴァ