語り部シルヴァ

Open App
11/29/2025, 10:14:02 AM

『失われた響き』

荒廃した街を歩く。
辺りは既に火災が収まり瓦礫と灰まみれ。
地震に嵐に大火事。
各地で唐突に起きた天変地異。

ここは本当に自分の住んでいた国かと思うほど
暴動も起きている。
警察や自衛隊は道という道が無いせいで対応が遅れている。
食べ物や飲み物を探してここを彷徨いているが
いつ襲われてもおかしくない。
けれどそのリスクを抱えてまでも探さないと
誰かに取られて明日を生きることが難しくなってしまう。

少し歩くと雲の隙間から差し込む太陽の光に当てられた
グランドピアノがぽつんと立っていた。
引かれるように椅子に座り鍵盤を押す。
中が壊れているのか綺麗な音は出ない。
右のペダルを踏みながら鍵盤を押しても響かない。

演奏してみる。所々悲しくて沈黙に掻き消されるような音。
けれど街のように荒れた心が和らぐ気がする。

...どうか、どうか少しでも早く復興されますように。

語り部シルヴァ

11/28/2025, 11:39:15 AM

『霜降る朝』

今日の朝はやけに冷える。
コーヒーを飲もうとしたが昨日飲んだ分で
無くなってしまったのを思い出した。
幸い近くに自販機があった。少し厚着をして...よし。

外は冷凍庫に放り込まれたように寒い。
手がかじかみ服がひんやりしている。
さっさと自販機へ...

道の端っこに生えている雑草が凍っているように
霜がかかっている。
なるほど、そりゃ寒いわけだ。
ボタンを押すとガタンとどデカい音で
コーヒーが吐き出される。

あったかい。寒すぎて痛くなった指先が
じんわりと温められていく。
我慢できずに蓋を開けて飲む。
焼けるような熱さなはずなのにごくごく飲めそうだ。

寒い空間の中で暖が取れる幸福感は今でしか味わえない。
...ふぅ。温まった口から吐き出される息は真っ白で
青くなってきた空に消えていった。

語り部シルヴァ

11/27/2025, 10:29:07 AM

『心の深呼吸』

会場は冬の朝のようにしんとしているのに、
そんな中僕含めた選手の闘志が静かに燃え上がっている。
この時期には半袖は寒いな...
なんて思っていたがこんな闘志に燃やされる訳にはいかない。

逆に燃やしてやる。それくらいで行かないと負けてしまう。
もうすぐ僕たちの番だ。
一定のリズムでゆっくり深呼吸して...
この呼吸のペースをずっと続けよう。

「次のチームの方!準備をお願いします!」
呼ばれた。ついに僕たちの番だ。

僕たちならきっといつものモチベを出せる。
呼吸のリズムを保ちながら
弓と矢を構えて射場へと歩き始めた。

語り部シルヴァ

11/26/2025, 10:12:02 AM

『時を繋ぐ糸』

「あ...」
道着に着替えてる時にミサンガがちぎれた。
なんてタイミングだ...
ずっと身につけて劣化してしまったのか...

なんて考えていると仲間が背中を叩く。
「ちぎれたってことは願いが叶うってことじゃんか。
もう俺たち優勝間違いないな!」
少しデカい声で笑う。ほんといつもそうだ。
考えてる暇なんてあっという間に無くなる。

でも...そのおかげでここまで来れたのも事実だ。
「よし...頑張って優勝掴むぞー!」

このミサンガは俺たちが入部して初めての試合前に
全員が身につけたものだ。
これが最後の試合。あとは自分の力を出し尽くすだけだ。

弓と矢を持って会場へ向かった。

語り部シルヴァ

11/25/2025, 10:59:55 AM

『落ち葉の道』

赤や橙の葉も散るようになってきた。
近くの公園も葉を失ったからかどこか寂しい景色になった。
ただ代わりに地面が鮮やかになって、
カラフルなカーペットが出来上がっていた。
1本進む度に少し足が沈んではパリッと砕ける音を
葉が音を立てる。

さっき寂しい景色といったが、
今日は秋晴れなこともあってか
空がより広く見える。

今日は過ごしやすい天気だ。
もう少し散歩をするのも悪くないかもしれない。

行き先は決めてないが...
公園内は落ち葉の道に従って進むのも悪くないかもしれない。

語り部シルヴァ

Next