『光と影』
歩けばみんなに声をかけられ、
助けを求められれば全てをそつ無くこなし、
関わる人達の信頼は並以上。
妬むものはいるけれど、
そんな人とも仲良くしようとするもんだから
陰口を言う人は少ない。
まるで勇者みたいだ。
中学は気が合う友人として共に過ごして来たが
高校に入った途端激変した。
二人で話す暇なんて無くて君は申し訳なさそうに席を外す。
断るのが苦手な君はこれからも輝き続けるだろう。
けれど休みだけはどれだけ連絡が来ても
君はスマホを見ず同じ時間を一緒に過ごしてくれる。
「いつもごめんね。こんな時間しか合わせれなくて...」
「高校になったわけだし、
無理して合わせなくてもいいのに。」
申し訳なさそうに言う君に答えると
君はムッとした顔で「僕は君との時間が欲しいんだよ。」
なんて言うから影みたいな私を?
と笑いながら聞くと
「影がそばにいてくれないと光は輝けないんだよ。」
と顔を寄せて答える。その目に嘘は無いようだ。
君と私が別の性別ならこの先に進めたのかな。
語り部シルヴァ
『そして、』
辺りが連鎖的に爆発を起こす。
ここまで来れたのも奇跡だろう。
俺たちのボスがやられてしまった。
そのせいかアジトが自爆システムが作動し始めた。
準備段階の時点で爆発が始まってる。
カウントがゼロになったら…生きては帰れないだろう。
俺は一番最後に少しでも爆発を抑えるため
全員が避難したエリアを閉めていく。
全員無事に帰れそうだ。
最後の扉をロックしようとした時隊員のひとりが声をあげる。
「扉のシステムが爆破により下がりません!」
衝撃か反動か...いやそんなことはどうでもいい。
ここの扉を閉めない限り全員無事では済まないかもしれない。
だとすれば、やることはひとつ。
「みんなは下がってろ。」
扉のサイズに似た破片を何重にも重ねる。
「ここで俺が少しでも抑えている。
少しでも早く遠くに逃げるんだ!」
たじろぐ隊員たちに怒鳴る。
「早く逃げろ!」
葛藤しながらも隊員たちは走り出す。
そろそろか...隊員たちの顔がよぎる。
みんな今までありがとう。そして...
カウントがゼロになった。
語り部シルヴァ
『tiny love』
ベッドから吊るされたオルゴールメリーが
優しいメロディを奏でてゆっくり回る。
それを見ながらずっと微笑む。
可愛い。こんな天使が我が子なんて...
そう思いながら洗濯物をたたみながら子を見守る。
あ、今度は動くおもちゃを掴もうと
手足をゆっくり伸ばしている。
ずっと見守りたいくらい可愛い。
優しい日光が部屋を照らして部屋が暖かくなる。
どんどん心地いい温度になっていくのか
動いていた手足はゆっくりと降ろし動かなくなった。
はだけた布団を直して、
天使の寝顔を確認する。
本当に可愛いなあ。
オルゴールメリーを止めて、また見守る。
優しい温もりに包まれた部屋に私も眠気を誘われた。
語り部シルヴァ
『おもてなし』
椅子に縛られ身動きが取れない。
全身を勢い任せに動かせれるがこれで逃げ切れる自信が無い。
動くだけ体力の無駄だ。
屋敷に潜入して情報を手に入れる任務だったのに...
まだ怪我してないのが
逆に今から尋問されるってことかもしれない...
嫌なことを考えたせいで嫌な汗が出る。
とりあえずこの部屋の中だけでも情報を集めて
逃げるルートを確保しないと。
そう考えていると屋敷のメイドらしき人物が入ってきた。
「あぁ...こりゃ素敵なメイドさんだ。
素敵なご奉仕が待ってるのか...?」
「えぇ、素敵なおもてなしがありますので
どうぞご堪能くださいませ。
貴方様から情報が出次第終わりますので
なるべく早くにお伝えした方がよろしいかと。」
そう言ってナイフやら爪を剥ぐ機械やら
拷問器具を取り出してきた。
素敵なおもてなしの始まりだ。
俺は歯が折れるくらい食いしばった。
語り部シルヴァ
『消えない焔』
「全く...次は気をつけなよ。」
元気な返事をして駆け足で持ち場に戻る。
そんなやり取りを見て後輩が話しかけに来る。
「先輩、よくあの新人の面倒見れますね。」
「ん?あぁ、そりゃあ新人だからな。」
「だとしてもミスの量とか異常ですよ。
他の部署から回ってきた理由何となくわかりますもん。」
あの新人は問題児と事前に知らされていた。
確かにミスは多発するし迷惑にはなってる。
だが俺は新人の頑張らなきゃって躍起になってる姿を見ているとどうしてもほっとけなくなる。
俺が今になっては忘れてしまった心を燃やすような姿勢。
それが新人にはあって、
それがとてもかっこいいからほっとけないんだろう。
またやらかしたならその時注意すればいい。
でもきっと、あの新人はここを乗り越えれたなら...
誰よりも強くなると俺は勝手に期待している。
語り部シルヴァ