語り部シルヴァ

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9/11/2025, 10:42:06 AM

『ひとりきり』

夜が涼しくなってきた。
季節はもうすぐ暑さを忘れていくだろう。
やっと夏が終わる。
せいぜいする。

なんて思っていたがどうも心がザワつく。
焦燥感というか、心の中にあったモヤモヤが
はっきりとした穴が空いたというか。

涼しくなってきた分センチメンタルに
なりやすくなったんだろう。
元々友達がほぼいないのも理由だけど...

あー...なんだか肌寒いな。
さて、人肌恋しくなる前に明日から
衣替えの準備でも始めようか。

語り部シルヴァ

9/10/2025, 11:31:27 AM

『Red,Green,Blue』

俺は1番上の兄。
下2人を守るためにいざと言う時まで待機している。
特に1番下は人から好かれやすい。
悪い虫を払うために見守っている。

私は真ん中の姉。
興奮しやすいお兄ちゃんと泣き虫な弟をいつもなだめている。2人とも私がいないといつも止まらなくなる。
そんな2人が大好きなんだけどね。

僕は1番下。
泣き虫だけどみんな僕のことを好いてくれる。
優しいのか都合のいいように使われているかは
わかんないけどね。

俺たち3人は個性がバラバラ。
でもなんだかんだ楽しい日々だ。

世話が焼ける2人。それでも2人の力になりたい。

僕ひとりじゃ何も出来ないけど、
2人の力を合わせればなんだってできる。

そう、僕らは3人で1人なんだから。

語り部シルヴァ

9/9/2025, 10:51:54 AM

『フィルター』

これはいらない。消そう。
これは欲しい。付け足そう。
そんな取捨選択を繰り返して
自分が納得いくまでスマホをいじる。
原型が無いかもしれない。
それでもこれが可愛いと私が思う。
完成したからネットにあげる。

私の投稿に通知を付けているであろう人から
いいねが5、6個来る。
立て続けに「今日も可愛い!」
と薄っぺらいコメントが添えられる。
それでも承認欲求というのは満たされていく。
もっといいねやコメントが欲しい。もっと褒められたい。

そう思う私はまた別のポーズで自撮りを始める。
そしてまた欲しいと要らないを繰り返して
理想の可愛いを目指す。

語り部シルヴァ

9/8/2025, 11:16:45 AM

『仲間になれなくて』

水の入ったバケツを個室の天井に向かって投げる。
ビシャビシャと中の水がぶちまけられる音が聞こえる。
するとクラスの一軍女子たちの甲高い笑い声がトイレに響く。
私は頬を無理やりあげて笑う。

個室に行こうとすると
女子の一人に呼ばれて私はそれについて行く。
教室に戻って話を聞いていると
ガラガラと音を立てて教室のドアが開く。
大きな音で教室内の生徒はほぼ全員ドアに視線を向ける。

びしょ濡れの君が教室に入ってきた。
「ちょっとぉ〜、ドブネズミが入ってきた〜」
「やだ〜不潔。ははっ」

一軍女子はそれを見て笑い、連れの男子は野次を飛ばす。
他の人は色んな思いを秘めながら見て見ぬふりしかできない。
君は何も言わず濡れた体を
カバンから取り出したタオルで拭き始める。
その姿を見た一軍女子はまた笑い出す。

ごめんね。君の仲間になれなくて。

語り部シルヴァ

9/7/2025, 10:58:44 AM

『雨と君』

強い雨風で部活が休みになった。
元々幽霊部員だからあまり関係無いけど...

家にはまだ帰りたくない。
きっとあいつが母さんと一緒にいる。
あいつがいる時に帰ると機嫌を悪くして
俺や母さんに当たってくる。
それだけは避けたい。母さんはなんであんなやつのことを...

天気がいいならゲーセンとかに寄って時間を潰せれるけど
今日は台風のような天気だ。よく学校は一日やったもんだ。
時間をどうやって潰そうかと学校内を歩き回っていると
教室で同じクラスメイトが一人で本を読んでいた。

物静かでどこか儚げなクラスメイト。
雨が降っている窓を背景に本を読む君は
なんだか見惚れてしまう。
話しかけようとしたけど
それを邪魔するわけにはいかなかった。

話しかけるならまた明日だ。
(気をつけて帰ってね。また明日。)
声をかけず心で唱えて手を振る。

さて、どこで時間を潰そうかな。
雨の中また廊下を歩き始める。

外の雨音が聞こえるのに自分の足音だけが廊下に響いた。

語り部シルヴァ

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