語り部シルヴァ

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8/31/2025, 10:44:34 AM

『8月31日、午後5時』

忘れられない夏休みだった。
思い返せば今年の夏休みはそう感じた。
テストが終わって部活だけのために学校に行って
部活が休みで予定が合えば君に会いに行った。

二人で食べたアイスとか
夏にピッタリなホラー映画を見たりとか
夏祭りにも行った。
沢山の思い出を君と作った。
そして夏が終わるのと一緒に君との物語も終わった。

君のことだ。復縁したいなんて言うことは絶対無いし
僕も言う勇気は持ち合わせてない。

僕たちの...いや僕の思い出は人からすれば
青春という二文字で纏めてしまうようなものかもしれない。
僕にとっちゃ二文字じゃ...言い表せれないけどね。

明日からまた学校が始まる。
君が隣のクラスで良かったと思う日が来てしまうとはね。

夏休み最後の夕陽が沈む。
それでもなお火照りが残る世界も明日には冷めてるといいな。

語り部シルヴァ

8/30/2025, 11:53:48 AM

『ふたり』

ふたり、同じ日に生まれた。
ふたり、家が隣だった。
ふたり、家族のように仲が良かった。
ふたり、どんなときも一緒だった。

ふたり、大きくなっても一緒だった。
ふたり、時には大喧嘩をした。
ふたり、そのあと泣きながら仲直りもした。
ふたり、固く結ばれた。

ふたり、他人には無い絆があった。
ふたり、片方の気持ちがわからなくなった。
ふたり、それでも片方を信じた。
ふたり、心にもやがかかった。

ふたり、また喧嘩をした。
ふたり、見ているものが違った。
ふたり、ずっと迷っていた。
ふたり、どうすればいいかわからなかった。

ふたり、距離を置いた。
ふたり、それでも片方が頭に残った。
ふたり、分かり合うまで話し合った。
ふたり、またお互い泣きながら仲直りした。

ふたり、どんなときも一緒だった。
ふたり、これからも一緒だ。

語り部シルヴァ

8/29/2025, 1:46:29 PM

『心の中の風景は』

学校の屋上から見る景色はとても鮮明に覚えている。
夕焼け空を視界いっぱいに堪能できて放課後は
こっそり鍵を開けてひとり空を見ていた。

ひとりだったけど、とても素敵な時間だった。
友達と呼べるような人はいなかったから仕方ない。

おそらく私の青春時代で一番綺麗だった景色だと思う。
今でもその記録は塗り替えられないほどだ。
今は...

空よりもパソコンの画面を見ることが増えたし、
夕焼けよりもブルースクリーンの方がよく見る。
ずっとしんどいし辛い。

けど...あの景色を思い出す度に
あと少しだけ頑張ろうって思える。
また...あの景色を見れたらなあ。
そんなことしてしまえば不法侵入罪で
うんたらかんたらと突っ込むのは野暮ってものだよ。

語り部シルヴァ

8/28/2025, 2:50:58 PM

『夏草』

青く生い茂る夏草。
昔は腹の高さまであったはず。
今じゃ膝よりも下になってしまった。

夏草をかき分けて進む時の青臭さとか
肌に擦れてくすぐったかったのを覚えている。
大人になった今はそんなことすることは無くなった。

大人だから当然...なんだろうか。
童心と一緒に大切なものも忘れてしまったような気がする。
子供の頃の無邪気さはある意味無敵だったんだなと
夏風に吹かれて
サラサラと音をたてる夏草を見て思う。

ちょうど夕日が沈み辺りが暗くなって時報が鳴る。
さ、もう帰ろう。

語り部シルヴァ

8/27/2025, 11:03:35 AM

『ここにある』

静かに行われると思っていた葬式は
想像以上に騒然としていた。
警察も参列者一人一人に事情聴取をしている。
お坊さんはこの状況でお経を読もうか迷っていそうだ。
今日はあの子が死んだ葬式の日。

順調に事が進むと思いきや、
あの子の心臓がくり抜かれているという話が上がった。
誰が言ったかは分からない。
けれど亡骸を持ち上げた時か
棺桶を持ち上げた時かに親族が参加して
その時パニックになって言い出したのだろう。

言っても聞かないからついに司法解剖をする医師が
わざわざ現地まで来て解剖の結果心臓が無くなっていた。
ただのパニックによる発作だと思っていた参列者も
ただ事じゃないと気付き最初に戻る。

みんな疲れている。
こんなこと早く終わらせて家で休んだ方がいい。
あの子はずっと家で眠っているのに。

語り部シルヴァ

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