『もう一歩だけ、』
もう疲れた。
面接も履歴書の制作も合否判定も全部疲れた。
精神面がもたない。
行きたいところも無いし内定は貰ったから
適当に選ぶのもいいのかもしれない。
本当に俺の行きたいところってどこなんだ?
俺にしか分からないとか今は気づいてないだけとか
わからないものはわからない。
けど...後悔はしたくない。
自分で言ってわがままだ。
これだけ内定貰ってるのもわがままだ。
だからこそ...自分が納得するまでやってみよう。
きっとこれを繰り返せば...本当に自分のしたいことや
自分の就きたい会社が見えてくるはずだから...
語り部シルヴァ
『見知らぬ街』
ここはどこだろう?
確かあの人とデートの待ち合わせをしてたけど
あの人はやってこないし
帰ろうにもここはどこかわからないし...
日も暮れてきた...
交番でもあれば相談できそうだけどそれも難しそう...
お腹空いたなあ...色んな家から晩御飯の匂いがする。
肉じゃが、カレーライス...あぁ余計にお腹が空いてきた。
このまま私はどうなるんだろう...
家に帰れなくて死んじゃうのかな...?
「あ!おばあちゃんいた!」
その声と同時に手を掴まれる。
この子は誰だろう?それに私がおばあちゃん?
「大丈夫?怪我は無い?」
何が何だかわからない...私はただあの人と...
「おばあちゃん...おじいちゃんはもう居ないんだよ...」
わけがわからないまま連れていかれる。
けれど不思議と怖さは無い。
それどころか安心感があるその手は
どうも他人じゃない気がする。
この子は誰なんだろう。
今日のご飯は何かな。
あの人に...また会えるかな。
語り部シルヴァ
『遠雷』
曇天が広がる空が唸り声をあげる。
雨の匂いが微かに香る。
もう時期雨と雷がやってきそうだ。
今日はやけに涼しいなと思っていたが
雲が厚く太陽をずっと隠していたからだろう。
時間的に夕立ちになりそうだ。
今はまだ外出中。
出かける前に洗濯物を外に干していたのを
思い出して早歩きになる。
また空から唸り声が聞こえてくる。急がなきゃ。
ゴロゴロと空が唸ると地面が
ほんの少し揺れるような気がする。
これは大きい嵐が来そうだ。
少しでも早く帰らなきゃすぐにでも降るかもしれない。
そう感じて汗で張り付く服のことも気にせず
ひたすら全力で走る。
遠くで雷が落ちた音がした。
語り部シルヴァ
『Midnight Blue』
セミの歌も子供たちの無邪気な声も車や
バイクのエンジン音も全然聞こえない夜。
夜風が涼しくさっきまで寝ていた私はベランダの窓を開けて
網戸からすり抜けて吹く夏の夜風を浴びていた。
今何時なんだろう。
起きた時に携帯でも確認すればよかった。
けれどめんどくさくて水だけ飲もうと動いて今に至る。
網戸の隙間からは夜風だけで星や月の光はお邪魔してこない。
代わりに道路に転々と並ぶ街灯が
少し明るめの星のようで少し眩しい。
夜風と街灯の眩しさで少しずつ目が冴えてくる。
網戸も開けて外の様子を見る。
人ひとりいない。野良猫も虫もいない。
日中の暑さをすっかり忘れた世界はみんな寝静まっている。
私ももう一眠りしようか。
さっきまで目が冴えていたことを忘れてしまった私の体は
窓を閉めてもう一度ベッドに寝転がる。
眠気に誘われるように閉じていく瞼に
次は素敵な夢でも見れるといいなと願い深く息をした。
語り部シルヴァ
『君と飛び立つ』
"君とならどんなことだってできそうだ。"
"あなたとならなんだってできそう。"
"いじめから救ってくれた君と"
"一人だった私に寄り添ってくれたあなたと"
"辛い時はどんなことだって乗り越えてきた。"
"辛い気持ちの時は支え合ってきた。"
それでも...僕らはお互いとは別に薄い希望の筋があった。
家族だったりペットだったり....
それらが沢山崩れていくと...?
お互いがどれだけ支えようとも
目の前に広がる絶望の前には何も出来ない。
""ならいっそ...""
""二人で飛び立とう。""
『えー先日、○○高等学校にて
〇〇高の生徒とみられる遺体が発見されました。
死因は飛び降り自殺とのことです。』
語り部シルヴァ