『Midnight Blue』
セミの歌も子供たちの無邪気な声も車や
バイクのエンジン音も全然聞こえない夜。
夜風が涼しくさっきまで寝ていた私はベランダの窓を開けて
網戸からすり抜けて吹く夏の夜風を浴びていた。
今何時なんだろう。
起きた時に携帯でも確認すればよかった。
けれどめんどくさくて水だけ飲もうと動いて今に至る。
網戸の隙間からは夜風だけで星や月の光はお邪魔してこない。
代わりに道路に転々と並ぶ街灯が
少し明るめの星のようで少し眩しい。
夜風と街灯の眩しさで少しずつ目が冴えてくる。
網戸も開けて外の様子を見る。
人ひとりいない。野良猫も虫もいない。
日中の暑さをすっかり忘れた世界はみんな寝静まっている。
私ももう一眠りしようか。
さっきまで目が冴えていたことを忘れてしまった私の体は
窓を閉めてもう一度ベッドに寝転がる。
眠気に誘われるように閉じていく瞼に
次は素敵な夢でも見れるといいなと願い深く息をした。
語り部シルヴァ
8/22/2025, 10:47:30 AM