語り部シルヴァ

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8/24/2025, 10:39:47 AM

『見知らぬ街』

ここはどこだろう?
確かあの人とデートの待ち合わせをしてたけど
あの人はやってこないし
帰ろうにもここはどこかわからないし...

日も暮れてきた...
交番でもあれば相談できそうだけどそれも難しそう...
お腹空いたなあ...色んな家から晩御飯の匂いがする。
肉じゃが、カレーライス...あぁ余計にお腹が空いてきた。

このまま私はどうなるんだろう...
家に帰れなくて死んじゃうのかな...?

「あ!おばあちゃんいた!」
その声と同時に手を掴まれる。
この子は誰だろう?それに私がおばあちゃん?

「大丈夫?怪我は無い?」
何が何だかわからない...私はただあの人と...

「おばあちゃん...おじいちゃんはもう居ないんだよ...」
わけがわからないまま連れていかれる。
けれど不思議と怖さは無い。
それどころか安心感があるその手は
どうも他人じゃない気がする。

この子は誰なんだろう。
今日のご飯は何かな。
あの人に...また会えるかな。

語り部シルヴァ

8/23/2025, 11:04:05 AM

『遠雷』

曇天が広がる空が唸り声をあげる。
雨の匂いが微かに香る。
もう時期雨と雷がやってきそうだ。

今日はやけに涼しいなと思っていたが
雲が厚く太陽をずっと隠していたからだろう。
時間的に夕立ちになりそうだ。

今はまだ外出中。
出かける前に洗濯物を外に干していたのを
思い出して早歩きになる。
また空から唸り声が聞こえてくる。急がなきゃ。

ゴロゴロと空が唸ると地面が
ほんの少し揺れるような気がする。
これは大きい嵐が来そうだ。

少しでも早く帰らなきゃすぐにでも降るかもしれない。
そう感じて汗で張り付く服のことも気にせず
ひたすら全力で走る。

遠くで雷が落ちた音がした。

語り部シルヴァ

8/22/2025, 10:47:30 AM

『Midnight Blue』

セミの歌も子供たちの無邪気な声も車や
バイクのエンジン音も全然聞こえない夜。
夜風が涼しくさっきまで寝ていた私はベランダの窓を開けて
網戸からすり抜けて吹く夏の夜風を浴びていた。

今何時なんだろう。
起きた時に携帯でも確認すればよかった。
けれどめんどくさくて水だけ飲もうと動いて今に至る。
網戸の隙間からは夜風だけで星や月の光はお邪魔してこない。
代わりに道路に転々と並ぶ街灯が
少し明るめの星のようで少し眩しい。

夜風と街灯の眩しさで少しずつ目が冴えてくる。
網戸も開けて外の様子を見る。
人ひとりいない。野良猫も虫もいない。

日中の暑さをすっかり忘れた世界はみんな寝静まっている。
私ももう一眠りしようか。
さっきまで目が冴えていたことを忘れてしまった私の体は
窓を閉めてもう一度ベッドに寝転がる。

眠気に誘われるように閉じていく瞼に
次は素敵な夢でも見れるといいなと願い深く息をした。

語り部シルヴァ

8/21/2025, 11:22:01 AM

『君と飛び立つ』

"君とならどんなことだってできそうだ。"
"あなたとならなんだってできそう。"

"いじめから救ってくれた君と"
"一人だった私に寄り添ってくれたあなたと"

"辛い時はどんなことだって乗り越えてきた。"
"辛い気持ちの時は支え合ってきた。"

それでも...僕らはお互いとは別に薄い希望の筋があった。
家族だったりペットだったり....
それらが沢山崩れていくと...?
お互いがどれだけ支えようとも
目の前に広がる絶望の前には何も出来ない。

""ならいっそ...""

""二人で飛び立とう。""

『えー先日、○○高等学校にて
〇〇高の生徒とみられる遺体が発見されました。
死因は飛び降り自殺とのことです。』

語り部シルヴァ

8/20/2025, 11:44:07 AM

『きっと忘れない』

「私の事なんかさっさと忘れてね」
あの教室で鼻声の君は言う。
夕焼けが世界を塗り潰す中悪かった視界に映ったのは
大粒の涙ボロボロと流して困ったように笑う君。

抱きしめたい。その一心で手を伸ばすも
君に触れることなく見慣れた天井が視界に広がる。
あぁ、またあの夢か。
学生時代の一番記憶に残ったワンシーン。

入学当初から仲良くなって付き合って...
そして卒業式の学生最後に別れを告げられた。
あの時はカッコつけて「わかった。」
とだけしか答えなかった。

本当はすごく嫌だった。
別れを切り出す理由とか
別れるのは嫌だとか
言いたいことは言えばよかった。

その後悔が、今でも夢に見る。
「夢ならさっさと覚めてくれ。」
ため息と独り言がこぼれて片手で顔を覆う。
目覚めたはずの世界が夢のように感じる。

これから何年先も忘れることはない。
せめて君の笑顔を記憶に残したかった。

語り部シルヴァ

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