語り部シルヴァ

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5/30/2025, 10:56:12 AM

『まだ続く物語』

全ての試練を乗り越えて最後の関門を突破。
手に入れた世界一の称号に世界中が称える。
僕は世界を救った。世界を守った。
世界一の勇者になれた。

そんな優越感を宴の酒で祝い、次の朝を迎えた。
起きていつもの服に着替える途中で
世界を救ったことを思い出した。
これから何もしなくてもいい。
着替えをやめて寝具に寝そべる。

時間は止まったかのように進まず
じっとしているのも嫌になる。
起き上がって着替えて家を出た。

村人に何処へ行くのかと聞かれた。
また旅を始めようと思うと答えた。

俺は世界を救ったが知らないことだらけだ。
世界一の称号を貰ったからには
世界をできる限り知ろうと思う。
そこで得た知識でまた別のことが出来るかもしれない。
世界をもっと知って、俺自身の物語を濃く彩ろうじゃないか。

なんだか旅を始めた頃を思い出す。
俺の物語はまだまだ続きそうだ。

語り部シルヴァ

5/29/2025, 10:39:21 AM

『渡り鳥』

「やぁやぁ」
休憩中にやってきたのはワタリドリと呼ばれるやつだ。
「もうそんな季節か」
「ここはもう暖かいねえ。ちょっとジメジメするけど」
思い切り羽を伸ばしてあくびをしながらワタリドリは語る。

「今年も色んなとこ回ったんだろ?どうだった?」
「あぁ。そりゃもう___」

ワタリドリは暖かいところが好きなやつで
ここら辺が寒くなると暖かい場所へと飛んで行く。
俺より世界を知っていて俺より生きるのが楽しそうなやつだ。
俺は遠くへ飛ぶ勇気も体力も無いから
こうして土産話を聞くのが楽しみだ。

一通り話し終えたワタリドリは一呼吸置く。
どうやら次で最後の土産話になりそうだと独り言を零す。

「なら次は俺が飛んで土産話を聞かせるよ。」
ワタリドリは甲高い声で笑う。

なら、羽を伸ばして待っていると言って
一人でまた甲高い声で笑った。

語り部シルヴァ

5/28/2025, 11:15:02 AM

『さらさら』

上から下へと砂が流れていく。
キラキラと小さく光る砂が混じっていて
部屋の明かりが反射している。
紅茶を蒸す時、カップ麺を作る時、最近の楽しみ。

静かに時間が過ぎていくのが魅力的に感じるそれは
どこか可愛さも感じられるようになってきた。

上の砂がどんどん減っていって
下の砂の山がどんどん増えていく。
それを見つめていれば時間があっという間に過ぎて
紅茶やカップ麺がより美味しくなるような気がする。

たまに静かすぎて砂時計を見つめていると
そのまま寝てしまうのがたまにキズかもしれない。
そう思いながら伸びきったカップ麺を口に運ぶ。

...ベチャベチャな食感だ。

語り部シルヴァ

5/27/2025, 10:16:11 AM

『これで最後』

「ごめんね...これで最後だから...」
スマホ越しに聞こえる相手の声はいつも鼻声で、
俺は"別にいいよ"と返すのが日常になってきた。

俺たちは2ヶ月ほど前に別れた。
理由はこれ以上付き合ってもお互いを
傷つけ合うだけだと思ったから。
それでお互い了承したわけだが...
それから相手の情緒がずっと不安で
電話をしないと落ち着けないらしい。

相手も申し訳なく思ってるようで常に
さっきの言葉を伝えてくる。
何度目のこれで最後だろう。
何度別にいいよを繰り返すのだろう。

ズルズルと引きずるこの関係に終わりは来るのだろうか...
いや、きっと終わることは無い。
これ以上お互いを傷つけないためにも...

語り部シルヴァ

5/26/2025, 10:51:16 AM

『君の名前を呼んだ日』

昔、俺が小さい頃よく遊んでくれた人がいる。
確か引っ越した先の家が隣で近所同士親が仲良くしてたのも
あって遊ぶ頻度が多かった。

相手が女の子で俺は男ってこともあってか
相手の名前を呼ぶのが恥ずかしくて
「おい」とか「お前」ってしか呼べなかった。

次遊んだときには...なんてことを繰り返していくうちに
突然相手が引っ越すことになった。
結局勇気を出せず名前を呼べないまま
別れる形になってしまった。

高校生になった今じゃ相手の名前すら覚えてない。
また...次会えたらその時には
名前を聞いてちゃんと名前で呼びたい。
君の名前を呼んだ日には...
「おい」とか「お前」って呼んでいたことも謝らなくちゃ。

それから...また二人で遊べるかな。

語り部シルヴァ

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