語り部シルヴァ

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12/31/2024, 11:03:31 AM

『良いお年を』

テレビの中の渋谷はカウントダウンが始まる。
周辺に何も無い。車の走る音しか聞こえない。
それに比べてテレビの中はずっと賑やか。

会社帰りのサラリーマン、友人で来た女の子たち、
初々しいカップルと街のインタビュワーは心情を聞いている。

僕もカウントダウンを友達と一緒に行ってみたかったものだ。
残念ながらそんなお誘いをできる友人はいない。
来年はそんな友人を作ることを
目標に入れてもいいかもしれない。
コーヒーで温まりつつテレビをぼーっと見ていると
スマホが鳴る。
誰だろうか。誰かに見られている訳でもないのに
平静を装いつつスマホを見る。
...クーポンのお知らせだったのでスマホを
ベッドにポイッと捨てる。


今年も変わらず1人で過ごすことになりそうだ。
「...良いお年を。」
誰かに言う訳でもないのに独り言がポロッと出た。

やはり...来年は隣に言えるような存在が
できることを努力しよう。

語り部シルヴァ

12/30/2024, 10:52:00 AM

『一年を振り返る』

日記を書き終え、大きく伸びをする。
明日も仕事だから年末感はそんなにない。
さて寝ようか...と思ったがふと気になって
日記をペラペラとめくってみる。
あの出来事が1月だった、あんなことが7月にあった...

早足でめくってみるも半分以上が大変な日だったことが
書かれていて思わずふっと笑ってしまった。
波乱万丈...だけど、飽きない1年だった。と思う。

来年はどんな年になるんだろうか、
楽しい一年になるだろうか...
不安と期待が混ざってとても楽しみだ。

時計を見るともう寝る時間をとっくに過ぎていた。
まずい。明日も仕事だ。
日記をすぐに閉じベッドに飛び込むように潜った。

語り部シルヴァ

12/29/2024, 10:47:27 AM

『みかん』

手がかじかむ。
あかぎれになりそうな指にみかんの汁が染みる。
口内炎ができてるから口の中も染みるんだろうなあと
思いつつみかんを剥き続ける。
あっという間に指は黄色になっていく。

地元で取れたみかんを農家の方がおすそ分けしてくれた。
コタツにみかん。うん、冬って感じ。
みかんは好きだがこの手でスマホやら布団やら触るのは
イヤだからそういうところだけは苦手かもしれない。

食べる分剥き終わったから早速1口。
果汁の優しい酸味と引き立つ甘みが最高だ。
地元はドが付くほどの田舎だがこのみかんだけは
どこの場所でも引けを取らないと思える。

けれど口内炎が染みる。
あー染みる。早く治ってくれ。
みかんを最大限楽しめないじゃないか。

それでも口に運ぶみかんのスピードは変わらない。
コタツにみかんの組み合わせは口内炎ごときに
止められないんだ。

語り部シルヴァ

12/28/2024, 11:26:43 AM

『冬休み』

冬休みはいつもそんしている
と冬休みが来るたびぼくは思う。
夏休みに比べて短い。
お正月が終わったらすぐに学校が始まる。

夏休みみたいにしゅくだいはあるしのんびりできる日は
あっという間に終わってしまう。
どうせなら12月から1月の間が
休みになればいいのにと毎回思う。
それにみんなお正月であそべないからよけいにヒマに感じる。
休みは長いといいけどみんなに会えないのは
ちょっと寂しいなあ...

カレンダーを見て学校まであと何日か数えては
わがままとさみしさがケンカする。

まーいっか。おひるねでもしようかな...
そう思ってねころがるとお母さんがやってきた。
「まーたそんなゴロゴロして、勉強は終わったの?」

今終わったところだよーと言いつつもなにか言われるのはイヤだから起きて勉強机にすわることにした。

語り部シルヴァ

12/27/2024, 1:23:30 PM

『手ぶくろ』

「...お前、また忘れたのか?」
「はい!今日も忘れました!」
にっこにこの笑顔で後輩は元気よく返事する。

雪が降る中この馬鹿は手袋をしょっちゅう忘れる。

「だから先輩...今日も貸してくださいっ!」
そして毎回手ぶくろを貸してくれとせがむ。
だからこのやり取りもほぼ毎日だ。

少し赤くなってしまった手を見てダメとは言えず
ため息をつきながら次は忘れるなよと渡すのもいつもの事だ。
そうやって手ぶくろをもらって喜ぶ後輩を見るのも
日課になってきた。

ある日後輩用に手ぶくろを渡すと
少し悲しそうな顔でお礼を言ってきた。
勝手に決めたからデザインが気に入らなかったのかと
聞いてみたが後輩はなにか引っかかるようにボソボソと
呟いていたが聞こえなかった。

じゃあ今度一緒に買いに行こうと言うと慌てて顔を横に振る。
どうしたのかと後輩は震えた声で答える。

「せ、先輩の手ぶくろが良いんですよ...!!」
そんな後輩の顔は手よりもずっと真っ赤だった。

語り部シルヴァ

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