語り部シルヴァ

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12/25/2024, 11:06:21 AM

『クリスマスの過ごし方』

いつも通り出勤して、帰りのご飯はちょっと贅沢に。
ご飯でお金を散財してまあクリスマスだからいっかと
思いつつ明日も頑張ろうと床に就く。

...予定だったんだけどなあ。
外は猛吹雪でホワイトクリスマスどころじゃなくなった。
今年の猛吹雪は異常で朝から真っ暗でお昼時になっても
吹雪が止まなかった。
結局出勤どころか買い物にすら行けず、
今日という日を終えてしまった。
いつもの休日みたいな無駄に時間だけを
食ってしまった気がして嫌になる。
食べたかったのはチキンだったのに...

もう日も落ちた時に行ったところで無駄だろう。
いつものご飯とコーヒーを済ませて寝るまでの時間を過ごす。

破天荒な1日だった。
独り身だったからのんびりできたと考えればまあ...
ヨシとできるな。
そう思いつつ、外の景色を眺めながら
明日の準備をすることにした。

語り部シルヴァ

12/24/2024, 10:38:08 AM

『イブの夜』

「ふぅ...」
今日も今日とてパソコンで趣味の創作を終わらせる。
ネタによって文章の長さが変わっちゃうのは反省点かな...
昨日投稿した創作の反応を見る。
コメントこそないが、創作を見てると
書かれたプロフの人がいいねをくれている。

最近同じ人がいいねをくれたりコメントをくれたりする。
もっと色んな人が楽しめる作品を作りたいな。
そう思いつつ今までの創作を眺めていると、DMが届く。
1枚の画像が送られてきたようだ。
画像の内容はメモに書いた手紙のようで、
ふと僕を見つけてくれたこと、内容が脳裏に想像できること。

まさかのまさか。こんなに素敵なメッセージを
いただけるなんて思いもしなかった。
イブの夜だが変わらない日々を送るもんだと思ってたが
これは...言葉が詰まるほど嬉しい。

いつもより嬉しいプレゼントを貰ったイブの夜。
今からでもチキンを買いに行こうかな。

語り部シルヴァ

12/23/2024, 12:03:21 PM

『プレゼント』

残業続きで今日も定時には帰れなかった。
気付けばすでにみんな帰っていて僕だけしかいなかった。
続きは明日やるか...そう思いデータを保存して退勤する。
廊下を歩いていると、人影を見た気がした。

やれやれ、疲れが随分と溜まっているようだ...
肩を動かしながら歩く。
退社すると外の異常な寒さにまた肩がこりそうになる。

もう日付が変わりそうなのに街は働いている人が
ちらほらいる。今から仕事の人もいるんだろうか...
疲れに疲れた体は右へ左へとふらふら進む。

「そこのお兄さん。よければどうぞ!
新作のドリンクお配りしてます!」
歩いていると急に視界にドリンクが差し出された。
伸びた手を辿るように顔を見つめる。
優しそうな店員さんのような人が笑顔で差し出していた。

「え、あぁ、ありがとうございます...」
受け取り最大限の笑顔をしたつもりでまたフラフラと歩く。
後ろから
「お仕事お疲れ様です!明日も頑張ってくださいねー!」
と大声が聞こえた。

振り返りお辞儀してまた歩き出す。
優しい言葉と応援、貰ったドリンク剤に
寒さが少し和らいだ気がした。

語り部シルヴァ

12/22/2024, 10:42:55 AM

『ゆずの香り』

普段は湯気しかないお風呂が今日は
ほんのりゆずの香りが広がる。
冬至が訪れたのでゆず風呂をやってみた。

実家だと自然とあったが一人暮らしになると
全然やってこなかった。
生活に余裕が出来てきたのでやってみることに。

久しくやってなかったゆず風呂は
普段のお風呂を豪華にさせた。
さっぱりする柑橘系の匂いは清涼感を引き立てる。
それでいて体を芯まで温めてくれるような感覚。

肩までしっかりと浸かると普段よりも
じんわり温かくなっていくのを感じる。
「...はぁあ。」
情けない声が漏れてしまう。
ゆずをひとつ入れるだけでもこんなに違ったのか...

懐かしくも初めての経験のような気分を味わえた。
明日も仕事だけど普段より頑張れそうだ。

ただ...気持ちよすぎてお風呂から出たくなくなってきた。
ご飯も洗濯も終わらせてないから出ないとだけど...
あと少し...あと少しだけお風呂に浸かっていよう。

語り部シルヴァ

12/21/2024, 11:48:36 AM

『大空』

思い出すのは昔の夢。

小さい頃幼なじみと共に砂埃まみれのこの閉鎖された国から
飛行機で脱出してやるんだと腕を組み約束したあの日々。

結局は実験中に幼なじみは事故で飛行機ごと木っ端微塵に、
俺は国に捕まり親を人質に捕らえられたが、
生かす代わりに国の犬に。
この腐りきった国のために生きるなんてまっぴらごめんだ。
それでも親を救う方法はこれだけ。
何も考えず何も感じず言われたことをやればいい。
それだけなんだ。

そう言い聞かせて過去の俺たちのように反抗しようとする者が
いないかパトロールを命じられ辺りを歩く。
俺が歩けば談笑する者は黙り込み、
俺を見る人の視線は冷たく恐怖に怯えている。
そんな中、無邪気な話し声が聞こえる。
割って入ろうとした親を押しのけドアを強引に開ける。

「あ、お兄ちゃん!」
まだ脱出を試みようとしたときに
仲良くなった年下の子たちだ。
「あのねあのね。
僕亡くなったお兄ちゃんみたいに飛行機を作ってね!
それで...」
元気に話すその姿は幼なじみのあいつを思い出させる。
本当はやめろと怒鳴りたい。
それでもあいつに動かされた心がそれを抑止する。

「そっか...今日俺が来たからいいものの、
他の奴らが来るかもしれないから周りが静かになったら
お前らも静かにするんだぞ。」
そう言って手袋を外し頭を撫でる。
笑顔で元気よくはーいと返事する子たちを見て家を出る。

外で怯えながら待っている大人たちに
「もう少し警戒心を持つようにと言っておいた。
気をつけるように。」
と伝えパトロールに戻る。

見上げた空は相変わらず汚く青空が見えない。
それでも差し込む太陽の光はあいつみたいに眩しく、
帽子のつばを持ち空を見ないように顔ごと伏せた。

大空を目指した過去も見えなくなるほど帽子を深く被って
また歩き出した。

語り部シルヴァ

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