語り部シルヴァ

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12/20/2024, 11:06:49 AM

『ベルの音』

綺麗なベルの音が3回鳴る。
空は快晴、式は順調に進んでいる。
cmやドラマなどでよく見る光景が今目の前で流れている。
いとこの結婚式。
大人になってから莫大な金額を使うと聞いた時は
頭がショートしてしまったが、
実際に見るとその金額分以上の価値があるなあと思った。

まあ...自分が開いた結婚式じゃないから
そう思えるのかもしれないが...
本当は使ったお金についてとか
今後についてそれどころじゃないかもしれない...

まあ今はこの幸せな時間に浸れているといいな...
自分はあんなふうに誰かと結婚することは無いと思ってるし
貯金も式を開けるほどの余裕は無い。
けれど、もしそんな自分でも愛してくれる人がいるなら...

きっと死ぬ物狂いでお金を集めるかもしれない。
そんなもしもの世界も
いとこの眩しい姿に薄れて消えていった。
馬鹿げた悩みより今は身内のこれからの幸せを祈ろう。

そう思いつつ微笑み合ういとこたちを見守るように眺めた。

語り部シルヴァ

12/19/2024, 11:52:17 AM

『寂しさ』

最近ネガティブになることが多い。
街ゆくカップルに嫉妬したり些細なことで
モヤッと来たり夜が急に怖くなったり。

これはあれだろう。『人肌恋しい』と言うやつかもしれない。
いや、そんなことは無いはず...
ずっと...今までずっと1人だった。
だからそんな事思うのはおかしい話だ。

確かに最近趣味が合う友達が出来た。
いつもはすぐ離れていってしまうのに、
長い付き合いになりそうだ。
だから...?

そんなちょっと浮かれている自分に嫌気がさす。
それと同時に気づいてなかった自分の気持ちに
正直になると余計に外の寒さが染みる気がする。

...人肌恋しい...のか...?
はぁ。こうなったらあの友達に責任取ってもらおうかな。
スマホを取り出して友達に連絡する。

"ねえ、クリスマスって空いてる?"
寒い中ただ1人、寒さを上書きするような熱を
帯びていただろう。

語り部シルヴァ

12/18/2024, 10:42:17 AM

『冬は一緒に』

暖房に加湿器、そしてコタツ...
コタツにはみかんを3、4個添える。
早速コタツに足を入れる。

熱くない程度にじりじりする熱が伝わる。
少し古いコタツだが壊れていないようで安心する。
冬はやはりこうでなくちゃ。
背中が肌寒いのでブランケットをかけて手はコーヒーを入れたカップで温まる。

暖房を消しても不思議と寒さを感じない。
こうなってしまってはコタツという牢獄の出来上がり。
もうコタツからは出られない...

体を伏せぬくぬくとしているとお腹周りがさらに暖かくなる。
起こして見てみると飼い猫がふとももの上で丸まっている。
愛らしい姿と優しい温もりが寒さを完全に吹き飛ばす。

今年の冬も一緒に過ごせてよかった。
猫も同じ気持ちなのか喉を上機嫌にゴロゴロと鳴らしていた。

語り部シルヴァ

12/17/2024, 11:14:02 AM

『とりとめもない話』

犬が吠える。
帰り道の夕焼け空が赤くなる。
子供たちが高い声をあげて家へ帰る。
それを見たカラスがガラガラ声で去っていく。

野良猫が媚びる。
辺りに晩御飯の香りが漂う。
そんな匂いでお腹が空く。

空はどんどん暗くなっていく。
帰ろうかな。

スマホを覗く。
眩しくて目を狭める。
もういいや。スマホをポケットに入れて歩き出す。

この話にオチもない。おしまい。

語り部シルヴァ

12/16/2024, 10:38:49 AM

『風邪』

うつらうつらとしていた意識が体温計のアラームで
少し目が覚める。
38°...完全に風邪のようだ。
この時期だからもしやとは思っていたが
本当に風邪を引くなんて...
喉が痛い。熱があるくせに寒い。視界が少し歪む。

冬に風邪を引くと決まって小さい頃を思い出す。
静かな外に加湿器の静かな音、お母さんが
すりおろしてくれたりんごの味。
あのりんごの味を超えたすりおろしりんごは今までない。

お母さんが私を思ってすりおろしたりんご...
きっと親の愛情なんかがあったんだと思う。

大人になってもまた親に甘えたいな...
なんて口が裂けても言えないから
自分で加湿器とりんごを準備し始めた。

語り部シルヴァ

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