語り部シルヴァ

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9/22/2024, 7:25:51 AM

秋恋

"もー!今はそんな気分じゃないの!'

ごめんと返したが連絡が途絶えた。
いつも通りゲームのお誘いをしたはずだが...
今日はなんだか機嫌が悪そうだ。

30分後...
仕方ないと1人でゲームの準備をしていると連絡が来た。

"ごめん...イライラして当たった。
ほんとごめんね。"
すぐに既読をつけて返信する。

"大丈夫。今日はゲームせずに電話だけでもする?
良かったらそのイライラ聞かせて欲しいかな。"

既読はすぐについてわかったと返ってきた。
女心と秋の空...なんて言うがその通りだ。
だがそれを迷惑とは思わない。
彼女だって人間だ。そういう時だってある。
だからこそ彼氏である僕が支えるんだ。

そう思いながら電話をかけると電話が繋がった。

「もしもs」
「私がいいって言うまで待って!」

そう言って電話を切られた。
まあ...そういう時だってあるよ。
人間...だからね...。

語り部シルヴァ

9/20/2024, 8:17:52 PM

大事にしたい

目が覚めた。またソファで寝てしまったらしい。
起き上がると暖かい感触が手にあることに気づいた。
俺を見守るようにうつ伏せで寝ている...
こいつもまた...か。

抱き抱える前に腕の震えを深呼吸で抑える。
壊れない...壊れない...よし。
起こさないようにそっと抱えあげてベッドに移す。
布団をかけて壊さないよう意識しながら撫でる。

こいつは俺よりすごく小さいし力も弱い。
だから小動物みたいな可愛さもある。
怒ってる時も可愛いからあんまり怒られてる気がしない。

だからこそ、自分の力で壊れてしまわないかと思うと触れようとする前に手や体が震える。

普段は素っ気ない態度をとるのもベタベタと近づいてうっかり壊さないようにするためだ。

「じゃあな、おやすみ。」
ボソッと呟きさっきまで寝てたソファに腰掛ける。

大事にしたいからこそ触れるのが怖いなんて、
独りだった頃は想像できなかった。
腕はさっきよりもマシだが震えている。

俺も随分弱くなったもんだ...
けど、それで触れることができるなら悪くないかもな。

語り部シルヴァ

9/19/2024, 11:12:26 AM

時間よ止まれ

時計を握りしめ強く願う。
あれだけうるさかった音も人や車の動きもピタリと止まった。
どうやら本当に時を止めれるようだ。

道端で辛そうにしていたおじいさんを助けたら貰ったもので、
「時が止まって欲しい時に強く願ってみなさい。
君の気持ちに応えて時を止めてくれるだろう。」

そう言っておじいさんはスッと立ち上がり去っていった。

止まった世界はものすごく静かで、孤独感が募る。
この力で誰かを救えるなら...
そう思ったが止まった大型トラックを見つめていると
過去がフラッシュバックする。
焼けたアスファルトと血の匂いに
けたたましい救急車のサイレン。

...時計を握りしめ強く願う。
"もし...あの頃に戻れるなら..."
目をぎゅっと瞑って少し経ったあと目を開いたが
世界は止まったまま。

時を止めても、過去には戻れない。
もういい。時間よ進め。
冷めた気持ちでそう思うと時間は進み出す。
さっきまでの静寂が恋しくなるほど
世界も頭の中もうるさくなった。

この時計は...本当のもしものためにとっておこう。
まずはこの時計を大事にいれる何かを買いに行くことにした。

語り部シルヴァ

9/18/2024, 3:00:50 PM

夜景

少し遠出をして帰りが遅くなる時、
お父さんがいつも言っていた。

「お出かけは帰るまでがお出かけだ。
普段行かない道も行きと帰りでは景色が変わる。
特に夜は電気がイルミネーションのように明るくなる。
この景色を見るのもお出かけのいいところだ。」

疲れて寝てしまったあとにいつも聞いていたその言葉は朧気ながらも覚えれるほどに片隅に残った。

あれから数十年。俺は車を買った。
取引先が少し遠く、会社に寄らずに
このまま直帰することにした。
随分と話し込んでしまい、退勤時間はとっくに過ぎていた。

今日が金曜日で助かったと思いながら車を走らせる。
日はどっぷり沈み景色は夜景へと変わる。
ふと父親のあの言葉がよぎった。

少し速度を落として安全運転で景色を横目に車を走らせる。
お出かけじゃないが、なんだか懐かしい感じを覚えた。

お父さん。お父さんのおかげで今も夜景を見るのが好きだよ。

語り部シルヴァ

9/17/2024, 3:11:59 PM

花畑

コスモスの花を見る度おばあちゃんちの花畑を思い出す。
花畑...と言うには少し規模が小さいけど、
それでも1輪1輪綺麗に咲いていた。

特に肥料や水の量を考えて与えていたわけでもなく、
ほとんど自然に綺麗に咲いたらしい。

風で揺れる花びら、ふわっと香る優しい匂い。
花に興味の無い私でもこの花は大好きだ。

そんな話をおばあちゃんにすると、
なんとコスモスの押し花で作った栞をくれた。
おばあちゃんの綺麗な花で作られた栞。

それまで読書をしなかった私が本を読み始めた時の
お母さんの驚いた顔は今でも笑ってしまうくらい覚えてる。

それくらい花畑といえばおばあちゃんちのコスモスが
結びついている。
またおばあちゃんに会いに行こう。
一緒に花畑を眺めながらお喋りしたいな...

語り部シルヴァ

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