語り部シルヴァ

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8/30/2024, 4:23:26 AM

言葉はいらない、ただ...

些細な喧嘩を友とした。
話し合いで終わるはずだった。
少し高めの土産を持って話し合ってあの時は
悪かったと言うつもりだった。
ところがそうもいかなかった。

茶室へ案内されると思ったが、庭の真ん中に呼び出された。
土産は持っていかれた。
キョロキョロと見渡していると、友がやってきた。

「や、やぁ。」
挨拶をしようとすると友はこちらに真剣を放り投げて来た。
受け止めるやいなや友は真剣で斬りかかってきた。
咄嗟に鞘で受け止め剣を抜き斬りかかる。

「おい!急になんだ!」
問い詰めようと思うが友の構えは緩みもしなかった。
ただ、鞘で刀を受け止めた時に違和感があった。
力が思ったより入ってなかった気がする。

これは真剣による喧嘩...そう受けとっていいのだろうか。
片手に持っていた鞘を放り投げ構える。
友はニヤついて刀を握り直す。

言葉はいらない...ただ...喧嘩するのみだ。
そう言いたそうな友の笑みを見て釣られて笑う。

語り部シルヴァ

8/29/2024, 3:58:00 AM

突然の君の訪問。

インターホンが鳴る。
ネットでの注文はしてないはずだ。
めんどくさいのも嫌だから居留守でも決めよう。

そう思って無視していると
何度も何度もインターホンを鳴らす。
ここまで来ると誰がやっているかはわかる。

「...インターホンはおもちゃじゃないんだぞ...?」
「はいっ!先輩を呼び出すためのものです!」
自信満々な回答はやや斜め上の答えが返ってきた。

この後輩は今年の春に1人で校内を迷っていたところ、
助けたら懐いてきた。
ゲームや映画の趣味が同じでよく夜に電話しながら
遊んだりする仲になったが、最近容赦なくこっちの部屋に
上がりこんでくるようになった。

嫌じゃないが...もっとこう...危機感を感じて欲しい。
そう思いながらも後輩用に準備していた
お菓子とジュースを用意する。

「ほら、今日のお菓子だ。ジュースもあるからな。」
「先輩...用意周到ですね。餌付けで私を飼おうとしてます?」

お前のためだ。と心の中でイラッとするも
すぐにそれは世話焼きだと感じた。

突然来るお前のために用意してやっていると言うと
後輩は何を思うか。
想像すると少し面白くなった。

「先輩。1人でにやけながら笑うのはちょっと...」

語り部シルヴァ

8/28/2024, 4:23:06 AM

雨に佇む

今日は花火大会だったはずだ。
花火の空撃ちも鳴っていた。
自分の心臓と同じくらいに肌に響いていたのも覚えている。

それなのにどうだろうか。
一緒に行く相手も花火の予定もなくなってしまった。
お誘いにOKをもらったはずだけど...
直前になってキャンセル。
仕方なく1人で現地に着くと予報ハズレの雨。
もちろん花火大会は中止。

僕が何をしたんだろうか。
いつもより少し調子に乗っただけじゃんか。
あー...カステラも食べたかった。
2人で綺麗だねって言いながら花火を見たかった。

雨の中佇む僕の姿は見てもいられないほど
哀愁漂っているだろうか。
...雨で見えなくなってるといいな。

語り部シルヴァ

8/27/2024, 4:06:11 AM

私の日記帳

私は日記を書いている。
ただの日記じゃない。
なんと4冊も書いているのだ。

総称を喜怒哀楽日記と呼んでいる。
名前の通りで嬉しいことがあったら喜の日記、
悲しいことがあった時は哀の日記とその時によって
書く場所を変えている。

めんどくさいこともあったけど、
日記の書き方はこれが一番落ち着く気がする。
次に見返した時にひとつの感情でもこんなに違うんだって
知れるのがなんだか面白くてクセになる。

ちなみに今月は哀の日記が1番多く書いたようだ。
夏は嫌いだからね。

語り部シルヴァ

8/26/2024, 8:26:06 AM

向かい合わせ

彼女はいつも向かい合わせに座っている。
なんでも隣は恥ずかしいそうだ。
勉強する時も、カフェでおしゃべりするときも、いつも向かい合わせに座る。

2年ほど付き合った今、そろそろ隣でも大丈夫だろ?と聞いてみた。
彼女は「君の顔が自然と見れるからいいの。」と変わらず恥ずかしそうに答える。
そんな君の笑顔がどうしようもないほど好きだった。
僕も、向かい合わせが好きになった。

幸せの絶頂とも言えた頃、些細な喧嘩をした。
普段喧嘩をしないもんだからお互いのヒビの修復は困難を極めた。

ある日、彼女がついに答えを出す。
「ねえ、別れよう。」
向かい合わせに座る彼女は今までで1番真剣な顔だった。

語り部シルヴァ

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