語り部シルヴァ

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8/18/2024, 10:31:01 AM



僕はしてもらったことを返す。
助けてもらったなら力になるし
優しくしてくれたら優しくする。

他人は鏡だ。
だから僕が鏡になってみんながどれほど
素晴らしいことをしてくれてるかを教えている。
今日も助けてくれたから力になった。
良いことをすると気分がいい。
なのにこの曇った気持ちはなんだろう...
そう思いながら帰っていると、
怪しげな占い師に呼び止められた。

「お前さんは鏡か...面白い。
じゃあお前さん自身は何者なんだ?」

僕は鏡だ。
...自分で答えて違和感を覚えた。
僕を鏡に映すと何が見える?
僕はどういう存在?優しいのか悪い性格なのか...?
反射しても何も映らない。
顔面に鏡が貼り付いているようだ。

「わからんか...なら助けてやろう。」

そう言って占い師は僕の顔目掛けて木槌で僕の顔面を殴った。
パリンと綺麗な音が割れて鏡は鱗のように落ちた。
それからは自分のしたいように動いた。
助けを求めている人を助け、悩んでいる人に寄り添った。
前とやっていることは変わらないと思うけど、
前の曇った心はスッキリしていた。

「他人は鏡じゃ。だがそれはあくまでも例えの話。
受けたから返すはただの人形じゃよ。
自分から行動し、他人に評価を受けて初めて
"人は鏡"という言葉が成立するのじゃよ。」

語り部シルヴァ

8/17/2024, 3:11:56 PM

いつまでも捨てられないもの

君からもらった懐中時計は随分と古びた。
メッキがはげ、緩くなった蓋、巻けなくなったネジ。
懐中時計としての役割はとうのとうに果たせなくなった。

ネジが巻けなくなったのは3年前。
それでも、君から貰ったというだけで
この時計はお守りにもなる。
隣に君がいなくとも、君が僕にくれたという事実を
この時計は教えてくれる。
未練がましい奴だ。
いつまでも引きずってる奴だと思われても構わない。

優しく懐中時計を胸に抱きしめる。
鼓動も伝わらないひんやりとした感覚は
冷たい現実を突きつけるかのようだった。

語り部シルヴァ

8/16/2024, 2:08:36 PM

誇らしさ

おとうさんはいつもけいたいに向かってあたまを下げている。
ごはんを食べてるときも休みの日も...
そうやってでんわを切ったあと決まって
「ごめんなあ」と頭をなでてくる。

ぼくはそれがお仕事だと思ってる。
むずかしいことはよくわからないけど、お母さんが
「あれもお仕事だから、
ママたちでお父さんを応援しようね。」と言ってた。

だからぼくはお父さんのことを
かっこわるいと思ったことは1回もない。
休みの日にその大きな背中におぶってもらえるのが
たのしみだな。
今日もかえってきたらいっしょにごはんたべようね。

語り部シルヴァ

8/15/2024, 1:38:14 PM

夜の海

波が行ったり来たりしている。
波の端でザブン、ザバァと音を立てる。
海面付近の砂はしっとりと湿っていて歩く度に
ジャグジャグと音がする。
静かな夜に音はこれだけ。

こんなド田舎な場所ではいつもの事だ。
実家に帰省したら楽しみはこれくらいだ。
静かな夜に海の音を聴く。
大学生なって都会で一人暮らしを始めたが、
18年もの間よくこんな何も無い場所で生きてきたものだ。
おかげで都会じゃ当たり前なことを学ぶのに
とても時間を食った。

満開の星空に漣の音だけが響く。
朝とは違う顔を見せる夜の海は私のお気に入り。
暗くて少し不気味だけど、
辛いこととかなんでも静かに飲みこんでくれそうだから。

語り部シルヴァ

8/14/2024, 12:53:14 PM

自転車に乗って。

電動自転車よりも普通のママチャリの方が好きだ。
自分の足で漕いだ分進んでくれるのがなんかいい。
もちろん足が疲れるけど、
その疲れがちゃんと漕いでいるんだと感じさせる。

遠くに行けば行くほど疲れは出る。
でも普段バイクを乗ってる自分からすると
普段行かない場所を自転車で行くのは小さな冒険のようだ。

徒歩でもバイクでも得られない何かが自転車にはある。
夏はさすがに暑すぎて自転車を使うと体力が
すぐに無くなってしまうからもう少し
気温が落ち着いてからにしよう。

秋はスポーツの秋なんて言うのだから
自転車に乗るにはうってつけだろう。

さあ、秋になる前に自転車に乗ってどこに行こうか
決めておこうか。

語り部シルヴァ

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