放課後、いつも笑顔の友人がため息をついて空を見上げている。
どうしたのか?と問いかけると待ってましたと言わんばかりに友人が聞いてよ〜と愚痴りだす。
「明日、仲のいい好きな先輩と遊園地に行くんだけど、雨が降りそうなんだ...」
初耳だった。友人に好きな人がいること、その先輩と仲が良くどこかへ出かけれる関係だということ。
僕自身君と一緒にいろんな所へ行ってみたいし特別な関係になりたかった。
友人が話を続けているが、心臓がうるさい。
脈打つたび視界が揺らぐ。
「ねえ、大丈夫?」
心配そうに声をかけてくれる友人に視界がはっとなる。
「だ、大丈夫。明日晴れるといいね...てるてる坊主作っとくよ!」
もう帰らなきゃとそそくさに帰ろうとする僕の背中に
「ありがとう!いつもありがとう!」
と友人が声をかける。
明日、もし晴れたら...
余計なことは考えず、てるてる坊主を逆さに吊るすことだけを考えていつもの帰り道を走った。
語り部シルヴァ
わたしはひとりが好きだ。
登校、休憩時間、放課後...
どんな時でもひとりが楽だからだ。
ある日私に付き纏う人が出来た。
登校も休憩時間も放課後もずっと隣にいる。
なぜ着いてくる?そう質問すると
あなたが一人でいるのに理由があるの?
と逆に質問された。
楽だから...そう答えようにも答えれなかった。
無いと答えるとあなたと一緒だ。と笑う。
そんな夏の太陽のような笑顔は私には眩しすぎた。
なんだかんだそんな日々が好きになっていた。
それがずっと続くと思っていた。
だがその人には恋人ができてずっと2人で
一緒になった。
わたしはまた一人。
今までひとりだったのに何をしても虚しい。
その時、あの人の質問の本当の答えを見つけた。
こんな寂しい思いをしたくなかったからだ。
その場に屈み、必死に涙を隠した。
だから、一人でいたかったんだ。
語り部シルヴァ