→なんかハードボイルドっぽいセリフ
「泡は『成る』もんじゃねぇ、『飲む』もんだ」
……あかん、かたゆで卵ってよりも、かたはら痛いわ。泡になって消えちまいてぇなぁ。これにて、ドロン。
テーマ; 泡になりたい
テーマ; ただいま、夏。
おかえり、休み。
→夏休み
(今年モ蝉の声ト花火、満開ナリ)
→短編・午睡のあと
いつの間にか眠ってしまっていて、目が覚めると夕方だった。夏の夕方、まだ外は明るい。でもほんのりと部屋は薄暗い。
私はノロノロとソファーから身体を起こした。ローテーブルの向こうに肘をついてスマホを見る彼を見つける。
クーラーの音の唸る音に、彼の観ているゲーム実況の動画の音が混じる。彼の顔はスマホに照らされていて、集中しているのか、つまらないのか分からない顔をしている。
私が起きたことに気がついているだろうに、彼は何も言わない。
テーブルにガラスのコップを見つけた。彼の飲み残しなのだろう。焦げ茶色から推測してコーラだな。私はそれを一気にあおった。
やっぱりコーラだ。すっかりぬるくなって、気が抜けている。
時計は午後6時を回ったところだ。
「焼き鳥、食べに行かん?」
私のその誘いに、ようやく無言を取り払った彼が「いいね」と応えた。
そうだ、そう言えばさっき喧嘩して、面倒になってふて寝のフリしてたらマジで寝ちゃってたんだっけな。
靴を履いて、私たちは外に出る。一瞬ムッとした熱気を感じたが、すぐに慣れた。そして、昼間にはなかった涼しさをそよ風の中に見つけた。
昼間、買い物に出た時に、彼があまりに暑い暑いと不満を口にしたのが喧嘩の始まりだったけな。
まぁ、もういいや。
私たちは手を繋いで、あれやこれや話しながら近所の焼き鳥屋に向かった。
テーマ; ぬるい炭酸と無口な君
→大海に揺れる。
朝のラッシュ時の新宿駅は、人だらけの大海原だ。右へゆくも左へゆくも、人の波に乗らなければ、流されて目的地に着けやしない。
大阪人の私は、梅田ダンジョンは制することができても、新宿駅の人海は未踏破で、乗りこなすのは至難の業。
海流に飲まれてアップアップ。なんとか端っこに逃げ出た。
海を漂うメッセージボトルってこんな気分かいな、と整然と流れる人波を、私はぼんやりと眺めていた。
テーマ; 波にさらわれた手紙
→お願いやから……
私のことは、もう忘れてや。
自分のために生きてほしい。
お盆のナスもきゅうりもいらん。
私はあんたの過去にしか居らん。
な?
お願い。
もっと未来を大事にしてや。
テーマ; 8月、君に会いたい