→短編・午睡のあと
いつの間にか眠ってしまっていて、目が覚めると夕方だった。夏の夕方、まだ外は明るい。でもほんのりと部屋は薄暗い。
私はノロノロとソファーから身体を起こした。ローテーブルの向こうに肘をついてスマホを見る彼を見つける。
クーラーの音の唸る音に、彼の観ているゲーム実況の動画の音が混じる。彼の顔はスマホに照らされていて、集中しているのか、つまらないのか分からない顔をしている。
私が起きたことに気がついているだろうに、彼は何も言わない。
テーブルにガラスのコップを見つけた。彼の飲み残しなのだろう。焦げ茶色から推測してコーラだな。私はそれを一気にあおった。
やっぱりコーラだ。すっかりぬるくなって、気が抜けている。
時計は午後6時を回ったところだ。
「焼き鳥、食べに行かん?」
私のその誘いに、ようやく無言を取り払った彼が「いいね」と応えた。
そうだ、そう言えばさっき喧嘩して、面倒になってふて寝のフリしてたらマジで寝ちゃってたんだっけな。
靴を履いて、私たちは外に出る。一瞬ムッとした熱気を感じたが、すぐに慣れた。そして、昼間にはなかった涼しさをそよ風の中に見つけた。
昼間、買い物に出た時に、彼があまりに暑い暑いと不満を口にしたのが喧嘩の始まりだったけな。
まぁ、もういいや。
私たちは手を繋いで、あれやこれや話しながら近所の焼き鳥屋に向かった。
テーマ; ぬるい炭酸と無口な君
8/3/2025, 4:48:15 PM