→花の季節
春が恋をした。
しかし、相手になかなか振り向いてもらえないらしい。
最近の気温の乱高下や強風は、彼女の無邪気なアプローチだとか。
片思いの相手?
それは言わぬが花。
テーマ; 春恋
→こんな未来はイヤだ。
野放図に走る未来図は地獄絵図
テーマ; 未来図
→名作探訪 第39回
琥珀糖専門店『結晶』の『春、ひとひら』
春風に揺蕩い、どこからか桜の花びらが貴方の肩へ。貴方はそっと摘み上げる。乳白色に仄かな紅を混ぜた薄様を。それは脱ぎ捨てられた花の衣だ。
琥珀糖専門店『結晶』は、そんな刹那的な花弁を、∞型結晶のグラニュー糖に漬け込み、新月に陰干し乾燥させて、甘い無限の中に閉じ込める。
さて、儚いひとひらはどんな風味を貴方の口に残すのだろうか?
テーマ; ひとひら
→短編・喪失に対峙する。
だだっ広く、何もない、石ころの地面と空だけの、そんな風景を求めて、僕は旅に出ました。
あの大惨事のせいで僕は全部を失ってしまったから、その喪失を別の虚無で埋めたいと思ったのです。
お供は、唯一僕に残されたぬいぐるみのウサギさん。僕と一緒に寝ていたから彼は助かった。そうでなければ……、僕は本当の本当にひとりぼっちになっていたでしょう。
彼はなかなかに頼りになる相棒で、耳聡く風を読むので、思ったよりも早く目的地に着きそうです。
今日は海辺でサンドイッチを食べました。サバサンド。揚げたサバが挟んでありました。
ウサギさんは食べたくないと言って、防波堤のテトラポットで遊んでいました。海の波が寄せてテトラポットに弾ける音に合わせて、彼の耳はピョコピョコ動いていました。
僕たちの目指す風景にたどり着いたとき、彼の耳はうなだれるのでしょうか? それとも何かを探そうとアンテナを動かすのでしょうか?
旅を始めて数カ月、最近僕は思うのです。虚無を探す僕たちですが、そんなものは見つからないかも知れないと。
テーマ; 風景
→心拍ジェットコースター
どうして出会っちゃったのかな?
君と出会わなきゃ、僕はこんなに苦しまずにすんだのにな。
君が僕を見てくれるだけで、僕の心は舞い上がる。そして反対に、君が僕以外の誰かと笑っていると、どうしょうもなく落ち込んでしまう。
君のなりふり一つで、僕の心は天地両極、高揚と下落。
まるでジェットコースター。
君の惹力が動力源。
僕の心臓は、今日も早鐘。
テーマ; 君と僕