一尾(いっぽ)in 仮住まい

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→名作探訪 第39回
   琥珀糖専門店『結晶』の『春、ひとひら』

 春風に揺蕩い、どこからか桜の花びらが貴方の肩へ。貴方はそっと摘み上げる。乳白色に仄かな紅を混ぜた薄様を。それは脱ぎ捨てられた花の衣だ。
 琥珀糖専門店『結晶』は、そんな刹那的な花弁を、∞型結晶のグラニュー糖に漬け込み、新月に陰干し乾燥させて、甘い無限の中に閉じ込める。
 さて、儚いひとひらはどんな風味を貴方の口に残すのだろうか?

テーマ; ひとひら

4/13/2025, 4:30:24 PM