→手帳
プライベートの手帳はマンスリー形式の薄いやつが好きだ。日毎とか週毎などは分厚いし持て余してしまう。そんなにたくさんの用事など無いし。
新しい手帳には、まず友人や家族の誕生日を書き込む。そしてすでに決まっている用事。
それから二十四節気と彼岸などの雑節。中秋の名月にクリスマス、月の満ち欠けを書き記していく。何でもありのてんこ盛り手帳の出来上がり。
特に1月、まだ新しい、でも自分色に染めた手帳をめくるのが好きだ。
未来を手にしているような気になるからだと思う。必ずやってくるまだ見ぬ景色がそこにある。
少しばかりワクワクする。
テーマ; まだ見ぬ景色
→短編・それぞれの進路
大学生時代のことだ。
友人の一人が「あの夢のつづきを探しに行ってくる!」と高らかに宣言して、大学を休学しインドに旅立っていった。
自分探し系に目覚めちゃったか〜と大多数が彼を笑いものにする中で、タテノくんだけが目を輝かせて賞賛していた。
「すっげぇ活力! ―ってか、『あの夢の続き』ってことは、他にも何か夢があるってこと? いいなぁ〜、叶えたい夢が多いって! 人生希望だらけじゃん」
大学卒業後、自分を含む大多数は就職した。夢の続き経由インド帰りの友人も同様である。
唯一、タテノくんだけが大学院に進み、脳科学の研究に励んでいる。希望と夢がどれほど人の活動力になるのかを測定しているらしい。
テーマ;あの夢のつづきを
→自動販売機の……
「あったか〜い」の表記が好きだ。
なんやろね?
あのフォントと「〜」に、庇護欲が駆り立てられるんよな。
「うんうん、あたたかいねぇ」と頷きたくなる。
それはまるで、孫の会話に相槌を打つ祖父母の無責任な溺愛と似とると思う。孫おらんから知らんけど。
ダラダラ書きましたが、つまり自動販売機で温かい飲み物を買うとき、いつも心が和むなぁってことです。
あのフォントと表記を採用してくれた人、ありがとう!
テーマ; あたたかいね
→短編・拾得物リスト
自転車の鍵を落とした。私が自転車を使うのは、通勤で家から最寄り駅までで、夜の帰宅時まで自転車の鍵に触ることはない。朝に落としたのか、それとも勤務先か? とにかく交番に届けるのは明日以降だな。会社のロッカーを漁んなきゃ。他の人にはありふれた自転車の鍵だが、私にとっては大事な鍵。あーあ、見つかってほしいなぁ。
ふと思い出して、警視庁の忘れ物検索サイトを探してみた。カテゴリ別に検索でき、さらに拾った場所と落とし物の特徴が書かれている。リストを目で追っていた私は首をひねった。
「う〜ん、困ったな」
特徴欄には、「リング付き」とか「キーホルダー付き」若しくは「カードキー」といった簡単なものばかりで、特徴に乏しい。
「え?」
しかし、望み薄な気持ちそのままに流し見でスワイプしていた私の指が止まった。
な? なんだ? 何か変なものを見た。
同じような特徴が並ぶ中で、明らかにその文字は異彩を放っていた。
「特徴、未来への鍵」
えっと……、これ、どんな鍵なの?
見たら分かるものなのか? 私、今までの人生で未来への鍵を見たことないんだけど。こんな拾得物に普通に乗っちゃうものなの? ―ってか、これ誰でも使えんのかな? 自転車の鍵よりも絶対に役立ちそう。問い合わせ番号控えて忘れたふりして問い合わせできないかな?
スマートフォンの画面を長押しする指に力が入った。特定の数字を囲う。
そして「コピー」の文字。やるだけやってみたい! だって未来への鍵だよ?
「ーって!!! 何考えてんだ、私!?」
私が探してるのは自転車のロックを外す鍵であって、誰かの未来を開ける鍵じゃない。
やべぇ、危うく犯罪に及んで自分の未来にロックかけちゃうところだったよ……。
兎にも角にも明日は早出して会社のロッカーを探してみよう。
テーマ; 未来への鍵
→浪漫元素
超新星爆発によってできた塵芥が、宇宙を漂い漂い、何処かの惑星にふらふら落っこちて、一つの元素となり、一つの生命の元になったりする、らしい。
しかしながら、
自分の手を見ても目ん玉を覗いてみても、髪の毛を引きちぎってみても、何処にもその形跡は見当たらない。
それでも星のかけらは、確かに私たち生物の体を構築している。
ところで、恒星が超新星爆発を起こすとブラックホールになるという。
星の欠片たちはその記憶を持っている、と考えてみたら、今のところ不可知のブラックホールについて、実は私たちは元素レベルですでに知っているのかもしれないって……ちょっと浪漫がすぎるだろうか?
テーマ; 星のかけら