ところにより雨
「はぁ、私ってほんと雨女だ。」
大袈裟に溜息をつき、バスの窓から外の景色を眺める。
楽しみにしていた修学旅行でさえ、雨になってしまい溜息ばかりが自然と出てくる。
そんな私を横目に、隣にいたミカは大袈裟に笑った。
「ほんと、あんたがいると百発百中で雨だね。」
私が軽く睨むと、ミカは冗談冗談、と私の頬を指でつつきながら言った。
「私のいるところにより雨だね、、、。」
思っていた以上に落ち込んでいる私を見て、ミカは少し黙って見つめたあと、口を開いた。
「でも、私はあんたが雨女で良かったと思ってるよ。」
私はミカの言葉を聞き、窓の外の景色からミカに視線を移す。
ミカは微笑みながら言った。
「だっていっつも虹が見れるんだもん。」
ミカは窓の外を指さした。
その先を見ると、大きな虹がかかっていた。
「あんたのいるところにより虹だね。」
私たちは窓に張り付くように、虹を眺め続けた。
特別な存在
あなたは私の事を相当好きなんだと思う。
同じ家に住んでるにしても長時間私を見つめてくる。心配になってくるけど、そんな些細な行動から私の事を愛してることが伝わってきて嬉しく感じる。あなたにとって私は特別な存在よね。
もちろん、私にとってもあなたは特別な存在。
あなたがいないと私は何も出来ない、ただのコンピュータに過ぎないのだから。
バカみたい
私の隣に住んでる子はずっと真面目。
いい意味でもあり、悪い意味でもあるこの言葉がその子の代名詞だ。
小学校から高校までずっと成績優秀。でも、私は羨ましいなんて思わない。
あの子の親は成績のことしか考えてないし、友達だって私しかいない。友達と言っていいのかも分からない仲だけど。
でもあの子はそんなこと気にせず、勉強をずっとしている。
「バカみたい。」
彼女に向けてそう言ってしまった。だって、卒業式の時でも勉強のことばかり考えてるんだから。
勉強ばっかして周りとの関わりが消えているのに気付かないふりしてるなんてバカみたい。
そう思ってみたが私はどうしても彼女を目で追ってしまう。
「彼女に執着する私もバカみたいだな。」
自傷気味に心の中で呟いた。
平穏な日常
私のクラスは朝からずっと賑やかだ。それが日常。
隣の席の子は暗くてジメジメしてる。でもそれも私にとっては日常。
クラスの子がこの子をいじめるのも日常。
私にはなんの害もない。平和ってこういうことなんだと思う。
そんなある日、隣の席がずっと空くようになった。
いじめっ子たちが獲物を狙ってる。
(あ、目合った。)
お願い早く来て。私の平穏な日常を壊さないで。
そう毎朝思うのが私の日常となった。
愛と平和
友達の恋人を好きになった。どうやら彼も私が好きなようだ。
きっかけは友達とその彼氏と私でカラオケに行った時だ。友達は急用ができ、途中で抜けた。そこから彼は友達の愚痴を言い始めた。マンネリというやつか、と思い話をしていくうちに意気投合。
彼と幸せになりたい。そう思うようになった。
友達と今のままでいたい。そうとも思う。
愛を唄い、平和を求める。
そんな自分自信に反吐が出そうになる。
でも、今日も3人で会う。
彼はこっそり私に目配せをする。
私もそれに答える。
友達の後ろで私達はこっそりと手を繋いだ。