ブランコ
「ねぇ、引っ越すってほんとなの?」
私たちは放課後、近くの公園にあるブランコに乗りながら話始める。
私は、少しうつむきブランコを揺らし始めながら答える。
「ほんとだよ。ここから結構離れた場所に行くんだよね。」
私たちは幼稚園の頃からずっと親友だった。
暇さえあればこのブランコに乗って遊んでいた。
「そっか、、、。」
しばらくの間、沈黙が続き、私がブランコを揺らす度に鳴る鉄の音が響いた。
しばらくして、親友が口を開く。
「離れても、私たち親友だよ。」
こんな臭いセリフ親友から聞くと思っておらず、思わず口元が緩む。
まぁ、これで涙を流してる私も私だろう。
「当たり前でしょ。」
私はそう言いながら、高く高く上がったブランコから地面に飛び降りた。
旅路の果てに
俺はまだ名も無き勇者だ!
隣には魔法使い、さらに隣には騎士がいる!こいつらは俺の仲間で、3人でパーティーを組んでいる!
俺らは、魔王を倒すことを目標に旅を続けている!
でも、そんな旅も今日できっと終わりだ。
画面の目の前にいる俺を操作しているやつは、こんなクソゲーに飽き飽きしてるだろう。
今に電源を落として、アプリをアンインストールするはずだ。
俺らは旅路の果てを知らないままになる。
でも、これだけは知って欲しい。こんな旅でも俺らにとってはすごく、い---
I Love、、、
英語なんて海外に行く気もないし、一生使うことなんてないだろうと思い、真剣に勉強もしてこなかった。
でも、そんな私は英語ペラペラの外国人と恋をした。
「I’m crazy about you.」
「Everyday I fell more and more in love with you.」
彼は毎日そんな言葉をかけてくれる。けれど、私には全く分からない。
私だって彼に自分の愛を伝えたい。
そう思った時に、最近覚えた英語のフレーズが頭に浮かんできた。
私は彼にそおっと抱きつきつぶやく。
「あい らぶ、、、」
安心と不安
夜中、隣で寝ていた彼氏がこっそりとベッドから降りて家を出て行った。
「気づいてないとでも思ってるのかな。」
もう今となっては毎日この調子だ。夜中に抜け出し、またしばらくしてら明け方帰ってくる。
「やっぱり浮気かな、、、。」
私が気づいてると分かったら、彼はきっと謝罪して別れるだろう。
けど、そんなこと私は望んでない。今でも彼のことは大好きだ。
でも、不安で涙が溢れてくる。私は声を押し殺して泣き続けた。
「ごめん起こしちゃった?、、、どうして泣いてるの?」
私は涙を拭って言う。
「怖い夢見ちゃって。」
彼はベッドにのり、優しく私を抱きしめる。
「大丈夫だよ。俺がついてる。大好きだよ。」
私も彼にぎゅっと抱きつく。
大好き、その言葉だけで安心してしまう。
逆光
俺はいわゆる舞台の裏側という職に就いている。
「始まった、、、!」
俺には密かに応援しているアイドルがいる。だか、ステージの裏側でしかその姿を見たことがなく、逆行によりピンクの光をまとう影でしか彼女の動きを見た事がない。
それでも、彼女のステージの素晴らしさは伝わった。
「いつか影じゃない君のステージを見たいな。」
俺は彼女の影の手に触れた。