寒さが身に染みて
大好きな君がいなくなった。
あの電話を最後に姿を消した。
色々な場所を探した。
君と同棲してる部屋。
君の大好きなカフェ。
君と出会った図書館。
それでもどこにもいなかった。
でも全ての場所に君の残り香が漂っていた。
それでも君はいなかった。
君の声が、肌が、髪が、笑顔が恋しい。
君のいない世界はなんて残酷で、
冷たいのだろう。
20歳
成人が18歳になったせいで、
20歳の重みが無くなった気がした。
本当にそんな気がしただけだった。
世間から見たら18はまだまだ子供で。
なのに大人で。
だから逃げ出した。
辛かった。痛かった。怖かった。
自分を子供扱いする人達が。
走って走って誰もいなくなった。
前よりもずっと静かで
湿った地面と足が音を鳴らすだけ。
疲れて足が痛くなったから少し休んだ。
右には大きな水溜り。
少し覗いて見た。
そこに映っていたのは18の大人ではなく。
18のただの子供だった。
三日月
好きです付き合ってください。
話したこともないクラスメイトに告白された。
正直驚きでいっぱいだ。
無口で本が好きな子、
という印象しかなかった。
なんて答えればいいか悩みに悩んで、
友達からよろしくお願いします。
と返してしまった。
窓の外を見上げると、
三日月が浮かんでいた。
色とりどり
この世界には色々なまとまりがあるがある。
すぐに思いついたのは、
最近社会で言われているLGBTQ。
他にも細かく言えば、
好きなことや得意なこと、
苦手なこと。
それらには稀に"色"で分けたりすることがある。
誰しもが何色かに染っていて、、、
それこそ十人十色。
だからこそ色に染まれない不安が怖い。
好きなことも得意なことも苦手なことも無い僕は、
まさに無彩色だ。
こんな僕は、
一体何色に染まることか出来るのだろうか。
雪
一面真っ白に染まった景色。
その中についた僕の足跡。
家からここまで歩いてきた。
初めて来た場所なのに迷いなく来た。
まるで何かに引っ張られるかのように。
目の前には古びた病院。
所々さびていて年季が入っていた。
中から声がしてふと顔を入口に向ける。
そこには昔亡くなったはずの幼なじみの、
雪ちゃんがいた。