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11/7/2024, 3:33:48 PM

『あなたとわたし』

あなたとわたしは、とてもよく似ている。

口に出さなくても、お互いに理解できることが嬉しかった。
笑うところや怒るところが同じで楽だった。
嫌がることは先回りして回避できた。
相手の望むことをしてあげられた。

だから今、あなたがどれだけ隠そうとしてくれても、
離れていく気持ちがわかりすぎて苦しい。

あなたとわたしが、似ていなかったらよかったのに。

11/5/2024, 8:52:49 AM

『哀愁を誘う』

服を捨てるのが苦手だ。

一目惚れして思い切って買ったとか、大事な日に着ていたとか、好きな人に褒められたとか。
どの服にも、思い出が絡み付いていて中々捨てられない。

ただ、そんな訳にもいかないのが服というもので。

明日が回収日か…、と考えながら、もう着ないであろう服を選んで袋に詰めていく。
ハンガーに綺麗に並んでいたお気に入りたちが、役目を終えてくしゃくしゃになっていく。

回収場所にそっと置くときはいつも胸が痛んで、振り返った丸い袋のシルエットが哀しい。

10/29/2024, 3:48:01 PM

『もう一つの物語』

○○しなければ、なんて想像を、これまでに何度したかわからない。

選ばなかった別れ道の先は、いつも理想的に輝いたものに思える。

想像上だけの、もう一つの物語。もう一人の私。

そんなものよりはきっと、私が選んだこの一つが私らしさであって。

例え時間を巻き戻せたとしても、またこの道を選びたい、と、最期の時に言えるように。



10/27/2024, 3:26:38 PM

『紅茶の香り』

受験生だった頃、母がよくミルクティーを作ってくれた。

お鍋でゆっくりと茶葉を開かせて、たっぷりのミルクとお砂糖。

疲れた頭を撫でてくれるような優しい味と香りが大好きで。

作り方は同じのはずなのに、どうして再現できないんだろう。

10/26/2024, 11:03:16 AM

『愛言葉』


私と彼の、会話のバランスは8:2といったところだろう。

彼は出会ったときから関西弁。
私は生まれたときから標準語。

「関西人なのにあんまり喋らないね?」
「なんやねんその偏見。そっちがずぅっっと喋ってるからやん。」

出会って間もない頃にした、そんな会話を覚えている。
多くを話すタイプではないけれど、彼の話を聞くのは好きだった。


一緒にいる期間が長くなって、私の言葉が変わってきた。

「なんか、関西弁うつってるかもしれへん!」

私が言うと。

「それ関西弁ちゃう。単純にイントネーションおかしなってるで。」
「嘘やん!関西弁やし!」

反論したものの、彼に言われて色々と口に出してみると、たしかに彼の音とは違う。
ものすごく中途半端な、所謂『エセ関西弁』になっているようで。

「エセ嫌やぁ...なんとかして。」
「練習するもんちゃうし。しゃーないやろ。」

あんたのせいやで、と嘆くフリをしながら。

私と彼の間だけに生まれた変な言葉たちが、少し愛おしい。

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