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『哀愁を誘う』

服を捨てるのが苦手だ。

一目惚れして思い切って買ったとか、大事な日に着ていたとか、好きな人に褒められたとか。
どの服にも、思い出が絡み付いていて中々捨てられない。

ただ、そんな訳にもいかないのが服というもので。

明日が回収日か…、と考えながら、もう着ないであろう服を選んで袋に詰めていく。
ハンガーに綺麗に並んでいたお気に入りたちが、役目を終えてくしゃくしゃになっていく。

回収場所にそっと置くときはいつも胸が痛んで、振り返った丸い袋のシルエットが哀しい。

11/5/2024, 8:52:49 AM