8/29/2024, 10:08:13 AM
「ねぇ、」
彼女は虚ろな目をして僕を見た。その表情は消えてしまいそうなぐらい儚く、寂しそうだ。
「なに」
僕は彼女の目を見て次の言葉を待った。
「貴方からの『好き』なんて言葉はもう求めたりしないから、」
「うん」
「ただ、その・・・」
「うん」
「貴方にちゃんと抱きしめて欲しかった、」
彼女は泣いていた。
ああ、僕はどこで間違えてしまったのだろう。
彼女は僕に背を向け、遠くへと消えていった。
<言葉はいらない、ただ・・・>
8/29/2024, 12:50:13 AM
はっくしゅん!
目が覚めてすぐくしゃみがでた。どうやら風邪をひいているようだ。
ベッドメイキングをしているとピンポーンと、チャイムがなった。
「こんな朝に誰だ...」
玄関に向かい、ドアスコープを覗こうとしたとき、扉が強く叩かれた。
恐る恐るドアスコープを覗くと、そこには全身黒で身を包んだ長身の人間が立っていた。
<突然の君の訪問。>
8/28/2024, 8:37:40 AM
「前が見えん...」
かけている眼鏡のレンズは水滴で溺れるように濡れ、前が見えにくくなっている。雨水は眼鏡だけを濡らしているはずもなく、私の体に強く雫を打ち付けている。
朝までは晴れていたのに。
「明日は風邪をひくかな」
少しだけ憂鬱な想像をして、私は家へと走り出した。
風を切る、というより雨を切るように、とにかく走った。
曇る視界などお構い無しにどんどんと足は進む。どうやら私の足は、もう止まることを知らないようだ。
こんな風に少しだけ憂鬱なことを想像したりして急に走り出す。ああ、ずっとそんな世界が続いていればいいのに。
<雨に佇む>