失われた響き
目を閉じる度、俺の名を呼ぶ彼女の声を思い出す
でも、彼女は現実に俺の隣にいない
勿忘草と青い薔薇の高台の夢でしか逢えない
失われた彼女の声の響きが、胸に残り離れない
何故、俺たちは離ればなれなのか
何故、俺たちはこの運命に選ばれたのか
「許されるなら…どちらかの世界で君と共にいたい」
消えない焔
彼の声は、今も耳の奥で響いている。
最後に聞いたあの声を…やっと思い出せた。
「忘れないで、俺は君を永遠に愛してる。どこにいても、何年経っても」
その言葉だけで、心が熱くなり生き返る。
でも、苦しくて、愛しくて、涙が溢れる。
「忘れないでって言いたいのは私もよ。どうしようもないほどに愛していたのに、何で忘れていたんだろう…」
だが、彼にはもう逢えない。
もし私があの異世界に戻れたとしても
彼を知る前の私はいない。
愛した人が「現実(ここ)にいない」ということが、
これほど痛いとは思わなかった。
涙を引っ込めたいのに心は自分を裏切り
涙が止められない。
こんなの誰にも話せない。
きっと誰にも分かってもらえない。
「真実の愛」は手のひらからすり抜けていったのに、
心身だけがまだあの人を求めている。
恋心は、まだ燻っている。
人を愛する心も幸せも何もかも
全て向こうに置いてきてしまった。
終わらない問い
海は陸より大きいらしい
ならば、彼と私の愛も
狭い陸よりも無限の海の中でなら
許されるのかな
そんな日はくるのかな
愛する、それ故に
本当の俺は、君が思うよりも酷い存在なんだ。
だから、俺は君の未来に寄り添うべき奴ではないんだ。
俺のことは忘れてくれ、君には幸せに生きてほしい
愛してる、だからさようなら
誰か
乙女ゲームの世界に転生したら、誰かと恋に落ちるものだと思っていた。運命が廻り始めると思っていた。
でも、私はヒロインではなかった。
幼馴染である彼も、トリックスターと呼ばれる彼もここにいない誰かを探しているようだった。
違和感があったのが、正規ヒロインがいないのだ。
攻略対象たちに一切絡まずサブキャラクターの少女と駆け落ちしてしまったとのこと。
「どうするのこれ」
攻略対象もヒロインも役割を失った乙女ゲームは、
一体どこへ向かうのだろうか。