力を込めて
誰も味方がいない、信用できなかった私を
力を込めて立ち上がらせてくれて
愛情を与えてくれたのは
あなたでした
たとえそれが
今までの悲しい記憶、
苦しい記憶だけじゃなく
全ての記憶を消されて
人の輪廻から外れることになるとしても
構わなかった
開けないLINE
見覚えのない真っ黒なアイコン
あなたの願いを叶えましょうと言う文字
そのLINEを開いたら最後、願い事の代償に
大きな対価を支払わなければならない
それでもあなたは、開きますか?
終点
次は〜終点〜。次元の扉〜、次元の扉〜
「この電車を降りたら、大きな扉があるのでそこに向かってください。そうすればあなたは人間の世界に帰れますよ」
「大丈夫、何かあったら私が飛んでいきますよ。」
不思議な世界に迷い込んだ私を、終点まで送り届けてくれた彼は今まで見た誰よりも穏やかな笑みを浮かべていた。
ここではないどこか
目を覚ますと、劇場だった。
目の前には、小さな少年がいた。
「ねぇ、今から面白いことが起こるよ」
イタズラな笑みを浮かべると、指をパチンと鳴らした。
「ようこそ、劇団現実(ここ)ではないどこかへ!」
「今宵は、貴方を現実とは違う世界へ誘ってくれるでしょう」
君と最後に会った日
今でも思い出す。
最後に寂しげに笑った君のことを
「それじゃあまたね」
それが君、Aと最後に会った日の言葉だった
しばらくして、他の友人Bと次の休みにAを誘って遊びに行かないかって話をした。
しかし、Bの反応は衝撃的なものだった。
「ちょっと何言っているの?うちらにAて知り合いはいないよ?」
「え、どういうこと?」
その後、何度訪ねてもBの返事は変わらなかった。
Aは、私以外の人の記憶からいなくなってしまったのか…?
時間を見つけては、私はAを探した。
よく行ったショッピングモールや喫茶店に公園、同級生の家など思いつく場所は全て探した。
同級生だけでなく、近所の人やSNSの友人にも聞いた。
それでも、Aは見つからなかった。
それどころか、みんなBと同じ反応だったのだ。
Aは、一体どこに行ってしまったのだろうか。
誰もAのことを知らないだなんておかしな話だ。
考えたくはないが、Aは私の幻だったのだろうか?