終点
次は〜終点〜。次元の扉〜、次元の扉〜
「この電車を降りたら、大きな扉があるのでそこに向かってください。そうすればあなたは人間の世界に帰れますよ」
「大丈夫、何かあったら私が飛んでいきますよ。」
不思議な世界に迷い込んだ私を、終点まで送り届けてくれた彼は今まで見た誰よりも穏やかな笑みを浮かべていた。
ここではないどこか
目を覚ますと、劇場だった。
目の前には、小さな少年がいた。
「ねぇ、今から面白いことが起こるよ」
イタズラな笑みを浮かべると、指をパチンと鳴らした。
「ようこそ、劇団現実(ここ)ではないどこかへ!」
「今宵は、貴方を現実とは違う世界へ誘ってくれるでしょう」
君と最後に会った日
今でも思い出す。
最後に寂しげに笑った君のことを
「それじゃあまたね」
それが君、Aと最後に会った日の言葉だった
しばらくして、他の友人Bと次の休みにAを誘って遊びに行かないかって話をした。
しかし、Bの反応は衝撃的なものだった。
「ちょっと何言っているの?うちらにAて知り合いはいないよ?」
「え、どういうこと?」
その後、何度訪ねてもBの返事は変わらなかった。
Aは、私以外の人の記憶からいなくなってしまったのか…?
時間を見つけては、私はAを探した。
よく行ったショッピングモールや喫茶店に公園、同級生の家など思いつく場所は全て探した。
同級生だけでなく、近所の人やSNSの友人にも聞いた。
それでも、Aは見つからなかった。
それどころか、みんなBと同じ反応だったのだ。
Aは、一体どこに行ってしまったのだろうか。
誰もAのことを知らないだなんておかしな話だ。
考えたくはないが、Aは私の幻だったのだろうか?
相合傘
雨止んでないね。
どうしたの?すごく焦った表情してるけど
え、傘を忘れた…?それは大変だ
駅まで走っていくって…
ダメだよ、風邪ひいちゃうよ!
あなたがかぜをひいてしまったら悲しいよ
ねぇ。よかったら、駅まで一緒の傘を使おう?
遠慮しなくていいんだよ。
相合傘をしていると、君と寄り添えてなんだか雨の日も悪くないなって思えるんだ。
好きな本
君との出会いは、大学の図書館だった。
お互い好きな本が一緒だったことから
友達になったことを今でも覚えている