別れ際に
桜が咲きそうな3月中旬。
私と親友は、卒業式から家路に向かう途中だった。
「私さこの3年間たくさん友達はできたけど、親友と言われて最初に出てくるのは貴方だったのよ」
これまでの日々を愛おしむような眼差しでで伝えてきた。
そうだね、と相槌を打った。
歩きながら、彼女と過ごした3年間が走馬灯のように駆け巡る。
初めて会った入学式の日、彼女のクラスに突撃した昼休み、夜空を見上げて語り合った修学旅行…
振り返ればいつだって一緒だった。
思い出話に花を咲かせながら駅に着く。
ああ、高校生として会うのはこれが最後なんだなと改めて思う。
でも、私たちの関係はこれからも続いていくだろう。
電車に乗る際、彼女は微笑んだ。
「ありがとう、またね。これからもよろしくね」
「こちらこそ、ありがとう」
通り雨
落ち込みなが歩いていたら突然の雨に降られてしまった
まるで、今の自分みたいだな。
雨宿りしながら、空に願った。この雨と一緒にモヤモヤも流してくれないかな。
秋🍁
秋。それは、食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋と色々楽しむことにもってこいな季節である。
私は断然、食欲の秋である。
秋になると食べたくなるお菓子はスイートポテトだ。
特に我が家では定番の秋のおやつである。
蒸したさつまいもを粒が残るようつぶすことがこだわりである。
1番ワクワクするのは、オーブンから出てくる瞬間。
黄金色の艶々と輝く可愛い小判型、ちょっと焦げ目がついているのがいい。
口にするとほくほくとした甘みが広がっていく。
我が家でスイートポテトが出てくると、あぁ秋だなとしみじみ思う。料理は、季節を教えてくれるんだな。なんて素敵なのだろう。
虫の声をBGMにスイートポテトのことを考えている秋の夜。次の休みは、スイートポテトを作ろうかな。美味しい物思いに浸りつつ、いつもの夜は過ぎていくのだった。
窓から見える景色
時刻は午後9時半。外からは虫の鳴き声が聞こえる。
母の趣味で育てている花たちも、すでに夢の中である。優しい月明かりに照らされてぐっすりと眠っている。
日常で辛いことがあっても、嬉しいことがあっても夜は誰にでも訪れる。
その事実にほんの少し安堵する自分がいた。
ほぅと息を吐き月を見上げた。柔らかな光は心の影を消していった。