georgetaro

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10/28/2023, 12:13:02 PM

暗がりの中で群れている彼らは、潰れた百貨店のショーウィンドウを横目に進んでいく。その無言の雑踏を、誰のものでもない夜さえ拒むのは、彼らのふざけた思想が一般に共感されるものではないからだろう。
先の革命で街灯は壊れてしまった。真っ暗闇で彼らは隣にある顔も見えていない。それでも歩く。まもなく始まる自己満足は、あの日、断頭台の上でも笑い続けた彼女へ向けて捧げられる。

10/27/2023, 2:39:52 PM

紅茶の香りにうっとりしすぎて
ティーパックを取り忘れた君が
渋さに眉を顰めるまでの一部始終を
いつのまにか目で追っていた

君の一挙手一投足、全ての特徴に
再認識する心…やっぱり

何度も覗き見た顔なのに
夏休みの後半には思い出せなくて
その程度だったのだと安心したのに

冷めた紅茶の口あたりくらい好きだった
今じゃもう…

10/23/2023, 10:57:13 AM

どこまでも続く青い空の麓を探しに電車に乗った

着かなくてもいい 見つからなくてもいい

らしく生きられれば らしさを思い出せたなら

10/21/2023, 2:09:39 PM

声が枯れるまで鳴いていたししおどし
唇ぬらすだけの水の流れ
時間のようだね
冬までに畳む旅館の庭は
不安げな寒空から吹く風で褪せる
強い寂しさを裏腹に
ぐったりとした諦念が汲まれるが
いつも通り背筋を伸ばして
テキパキとした女将の姿勢を見ては
誰も野暮をしようとしなかった
古時計のコンセントが抜かれようと
ショベルカーが苔をめくろうと
ししおどしがもう鳴らなくとも
ただ確かにそこにあった
ししおどしの声はまだ
どこかへ振動している

10/17/2023, 2:53:20 PM

忘れたくても忘れられないなら
土に潜ろうぜ!
草の根が張って無いところに頭から
Tシャツ、短パン、サンダル、風呂上がり
コンビニ行くんかと思わせてみっともなく
土に潜ろうぜ!
口の中がジャリジャリしてきたら
そろそろ窒息しないように気をつけて
あてもなく掘って掘って
爪に入った土とかどうでもいいから
無我夢中に!
明日吹く風なんて置いてきてさ
いずれ全身埋まったらどうする?
何から忘れる?
でもさ
深く深くに蒔いた種が萌えたら
そしたら もう
花が咲くまで待ってもよくない?

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