NoName

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7/2/2024, 2:25:26 AM

   窓越しに見えるのは


 電車を辿って旅に出る。
 ふと、窓ガラスを通って見える未来があった。
 妄想、空想、夢の続きと人は言うだろう。

 でも、ああ、そうか。
 君の隣に並ぶことが怖い時だって、君はずっと隣にいてくれた。
 私はその未来を信じたかったんだ。

5/24/2024, 11:27:45 PM

   あの頃の私へ


 早く大人になりたがっていた、小さくてものすごく元気だった頃のわたしへ。
 今、少し言葉を送ります。

 もうこれを書いている前から、私はとっくに大人です。
 何が、というとむずかしいです。
 子どもと言われる歳を過ぎ、大切な家族や、大切な動物たちを見送った、というと、小さいわたしはおどろくでしょう。
 わたしが思い描いていたような大人になれなかったこと。諦めたのは夢だけではないことや、他にも色々とあります。
 苦さを知ることは大人になることなのか、まだ私にはわかりません。
 小さなわたしが私の話を理解したなら悲しむかもしれませんね。
 とはいえ、目まぐるしい日々にきっとすぐに忘れることでしょう。
 こんな言葉が届くなら夢の中でしょうから、それならば明日のために、今日のためにゆっくりと眠って下さい。

 おやすみなさい。どうか続きはいい夢でありますように。

5/24/2024, 1:32:04 AM

   逃れられない


 あなたは言う「逃れられない」と。
 私は疑う『本当にそうだろうか』と。
 けれどあなたが心底思い込んでいるなら、それは確かに真実で。
 私がわずかにでも疑っているのなら、それも確かに真実なのだ。
 ねえ。私はどちらが真実だろうと、結果としてあなたが幸せなら、それこそが一番いいと思うんだよ。

5/23/2024, 12:11:26 AM

   また明日


 短くて易しくて難しい、小さな約束。
「また明日ね!」
 会おうだとか、話そうだとか、何かを共有しようだとか。
 そんなのひっくるめての別れの挨拶。
 ささやかな再会を望む言葉。
「また明日!」
 子供らが同じ言葉で手を振り合う。
 そういう情景が似合うのは、きっと今のような夕焼け前の公園などだろう。
 季節が移ろって時を重ねても。
 “明日”が“今度”に変わっても。
 今のような笑顔がこの子達に続いたらいいなと、私は通りすがりにかすかに願ったのだ。

5/21/2024, 12:22:25 AM

   理想のあなた


 想像の中でいくつも、何度でも理想のあなたを作り上げた。
 そのたび私は自分に問いかけることになった。
「あの人への理想だけの塊なんて、今まで一体どこにあったの?」と。
 えくぼの無いあなた、苦いコーヒーが好きなあなた、大人っぽいあなた。それから……。
 理想のあなたを手放せたのは、あなたがいつも等身大の私を見ていてくれたおかげ。
 そうでなければ、今でも理想は育ち続けていただろう。

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